2023 年 73 巻 2 号 p. 77-92
2021年に慢性疼痛診療ガイドライン (以下、 ガイドライン) が発刊され、 統合医療や頭痛の項に鍼治療に関する項目が収載された。 本シンポジウムでは、 ガイドライン発刊を受け、 慢性疼痛を取り巻く鍼治療のエビデンスの現状の理解とガイドラインの拡充のための議論を行うことを目的に実施した。 南波氏はガイドライン作成のワーキンググループメンバーとして、 ガイドラインへ鍼灸治療が収載された経緯を紹介しつつ、 各専門分野だけでなく、 鍼灸独自のガイドライン作成への展望を述べた。 久保氏は近年における痛みに関する鍼治療の基礎研究の現状を提示した。 マウスやラットへの鍼刺激によるアデノシンやオレキシン、 オキシトシンへの影響や、 鍼刺激に対して経穴特異的な反応を明らかにした基礎研究を紹介し、 慢性疼痛に対する鍼治療の効果を確立するための基礎研究の重要性を述べた。 有働氏は慢性疼痛に対する鍼灸治療の臨床研究に関する詳細なレビューを行ない、 鍼治療方法や刺激部位、 刺激方法の現状を報告した。 皆川氏は鍼灸師に対する痛みの系統的教育が十分に実施されていない現状を示し、 また、 自身らが実践する慢性疼痛患者に対する鍼灸治療について述べた。 本シンポジウムの内容をご高覧いただき、 諸氏の臨床・研究・教育の参考になれば幸いである。