2023 年 73 巻 4 号 p. 269-276
【緒言】患者-鍼灸師間の信頼関係構築の重要性を示唆したパニック症患者を経験したので報告する。 【症例】69歳、 女性、 無職 [初診日]202X年7月 [主訴]不安感、 呼吸困難感、 不眠 [現病歴]X年1月、 呼吸困難感とめまいが出現し意識消失。 A病院に救急搬送され、 循環・呼吸器疾患は否定。 この頃より不眠症状が出現した。 X年2月、 呼吸困難感と吐き気のため救急受診し、 後日、 A病院東洋医学科にてパニック症と診断された。 [既往歴]関節リウマチ、 レストレスレッグス症候群 [薬物] 黄連解毒湯 [所見] 1~2回/週の頻度で呼吸困難感・胸部絞扼感・発作への不安感(+)、 入眠困難・中途覚醒・夜間の足趾のほてり(+)、 下肢神経学的所見・動脈拍動:正常、 足趾冷感・足底の発汗(+) [鍼灸治療] 使用経穴は、 百会(GV20)、 内関 (PC6)、 神門 (HT7)、 足三里 (ST36)、 三陰交 (SP6)、 太衝 (LV3)、 風池 (GB20)、 肺兪 (BL13)、 心兪 (BL15)、 合谷 (LI4)、 腎兪 (BL23)、 中 (BL33)、 築賓 (KI9)、 承山 (BL57)、 太渓 (KI3) とした。 2診目以降には天柱 (BL10)、 肩井 (GB21)、 肩外兪 (SL14)、 八風 (Ex-LE10) への置鍼や温筒灸を追加した。 【経過】治療期間91日間に、 14回の鍼灸治療を行った。 2診目以降から呼吸困難感と胸部絞扼感はほぼ消失したが、 7診目に不眠と下肢ほてりが増悪。 患者は鍼灸での軽減を希望したが、 鍼灸治療で著効しないことから専門的な治療の必要性を説明し、 不眠症専門外来へ紹介した。 レストレスレッグス症候群の診断でプラミペキソールが処方され、 下肢症状消失とともに不眠症状も改善した。 【考察および結論】本症例のパニック症に伴う症状に対し、 鍼灸治療は効果的であった。 また、 必要に応じて適切な医療の受診機会につなげることの重要性が示された。