全日本鍼灸学会雑誌
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解説
顔面神経麻痺診療ガイドライン2023年版における鍼灸の役割と可能性
粕谷 大智
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2023 年 73 巻 4 号 p. 277-282

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抄録

本稿は、 12年ぶりに改訂された顔面神経麻痺診療ガイドライン2023年について、 鍼治療に関連する内容を中心に紹介し、 麻痺の評価法や患者自身が行うリハビリなども理解することで、 医療従事者が麻痺患者に対する適切な評価及び治療の選択の一助となることを目的とした。 今回の改訂では、 鍼灸の Clinical Questionの①鍼灸は麻痺の早期回復に効果はあるのか (急性期) ②鍼灸は後遺症の症状を軽減させる効果があるのか (慢性期) の2つについて推奨度が出され、 両者とも“弱く推奨する”と今までの“推奨しない”から大きく改訂された。 この結果については、 急性期の麻痺の回復や慢性期の拘縮やこわばり感などの後遺症の軽減に従来の治療 (コントロール) と比べ、 鍼治療の介入は効果が期待できるSystematic Reviewがいくつか出されていること、 その中でも特に後遺症を予防・軽減することで Quality of Lifeの向上に寄与することが示唆され、 今後は医療機関との連携を密にしながら麻痺の病期を把握し、 その病期に応じた鍼灸治療とセルフケアの指導も鍼灸師の役割と考える。

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