全日本鍼灸学会雑誌
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原著
運動前の足三里への台座灸刺激が漸増負荷運動での呼吸代謝に及ぼす影響
ランダム化クロスオーバー試験による検討
井口 智弘, 和辻 直
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2025 年 75 巻 3 号 p. 354-366

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抄録

【緒言】足三里への灸は古くから行われており、 持久力の向上が期待できる。 そこで運動前の足三里の台座灸刺激による漸増負荷運動中の呼吸代謝への影響を検討した。 【対象と方法】対象は研究に同意を得た健常成人男性14名。 ランダム化クロスオーバーデザインとし、 Moxa期間とCont期間を設けた。 Moxa期間では、 運動負荷前の3日間、 両側の足三里へ台座灸 (竹生島、 セネファ社) を3壮行わせた。 漸増運動負荷は自転車エルゴメーターを用いた。 呼吸代謝は換気性作業閾値 (VT)、 呼吸代謝閾値 (RC)、 運動終了時 (Peak) の各指標を記録した。 併せて酸化ストレスを測定し、 酸化ストレス度 (d-ROMs)、 抗酸化力 (BAP) を評価した。 【結果】呼吸代謝ではPeakの到達時間 (Time)、 換気量 (E)、 運動負荷量 (Watt)、 酸素摂取量 (V・O2)、 二酸化炭素排出量 (V・CO2)、 体重で除したV・O2 (V・O2/W) がCont期間に比してMoxa期間では有意な上昇を認めた (P<0.05)。 酸化ストレス指標d-ROMs・BAPは両期間に有意差はなかった。 各期間内での経時的変化では、 d-ROMsではCont期間のPreとPostに有意に上昇を認めた (P<0.05)。 【考察】Peak時において、 Moxa期間はCont期間に比してTimeが5.8%延長し、 V・O2/Wが4.7%増加した。 好気性のエネルギー代謝を高め運動耐容能が増加し、 全身持久力を高めた可能性がある。 運動前に抗酸化作用を高めることには利点があり、 本研究での期間内の酸化ストレス動態から、 灸刺激による抗酸化作用により運動負荷前後の酸化ストレスの有意な上昇が抑制し、 持久力が向上した可能性がある。

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