全日本鍼灸学会雑誌
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原著
鍼灸師の働き方と満足度に関する調査
働き方の実態と満足度の傾向
西村 理恵
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2025 年 75 巻 3 号 p. 367-378

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抄録

【緒言】鍼灸師は自営や勤務をはじめ多様な働き方を選択できる職業であるが、 働き方が満足度や生活とのバランスに与える影響についての研究は少ない。 本研究では、 鍼灸師の働き方と、 満足度や 「ゆとり」 について探索的に検討した。 【対象と方法】登録鍼灸師を対象に横断研究とした。 全日本鍼灸学会、 日本鍼灸師会、 全日本鍼灸マッサージ師会、 および特定のSNSグループの協力を得て、 学会・業界団体の所属会員、 およびSNSグループの所属者に対してオンラインアンケートを配布した。 調査項目は、 性別、 免許取得後年数、 業務形態、 労働時間、 婚姻状況、 ゆとり (時間、 経済、 精神、 生活)、 満足度 (仕事、 生活、 両者のバランス) とした。 データ解析では、 記述統計、 カイ二乗検定、 Wilcoxon順位和検定、 ロジスティック回帰分析を使用し満足度への影響を評価した。 【結果】解析対象は500人であり、 業務形態は自営業65.6%、 勤務25.6%、 自由業5.8%、 他職業3.0%であった。 時間・経済・精神・生活のゆとりを感じた者は58.6~76.2%、 仕事・生活・両者のバランスの満足度が高かった者は68.2~79.4%であった。 多変量解析では、 満足度に対して、 業務形態および取得後年数に関連は認められず、 時間的・経済的・生活全体のゆとりが、 満足度に対して有意な正の影響を与えた。 【考察】鍼灸師の働き方は 「勤務」 や 「開業」 にとどまらず多様であり、 全体的に満足度も高かった。 また、 業務形態や取得後年数による満足度の差は見られず、 自らの状況や価値観に応じて働き方を選べることが、 満足度や生活の質の向上に寄与している可能性が示唆された。 本研究は、 鍼灸師が自らの価値観に応じた働き方を選択できる職業であることを示し、 今後の職業選択やキャリア形成の検討に有益な知見を提供する。

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