1982 年 31 巻 3 号 p. 223-231
遷移金属鍼刺入の影響による生体内金属イオンの存在様態を決定するために, 特性X線スペクトルの分析を試みた。
その結果, 刺入遷移金属鍼のイオン化の定性とイオンの拡散分布方程式, イオン移動係数に等しい拡散係数そしてイオンの拡散速度を導びいている。
他方, 刺入金属鍼のイオン化量は刺激時間の増大に伴い増加して, このことは特に筋肉において顕著である。また, Kイオンの内在量は刺激時間の増大に伴い減少し, さらに刺入鍼の通電により組織内各種金属イオンの相対的濃度比が変動することを確認している。
これらの結果に対して, 金属蛋白の観点より若干の考察を加えている。