全日本鍼灸学会雑誌
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鍼治療による反復性扁桃炎の予防に関する臨床的研究 (第1報)
吉川 恵士西條 一止矢澤 一博森 英俊坂井 友実根本 宏三源内 清美佐々木 和郎緒方 昭広小田 京子嶋 俊和窪田 清和峯田 宏神尾 秀子山本 暁美
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1982 年 31 巻 4 号 p. 372-380

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抄録

反復性 (習慣性) 扁桃炎の再発予防を目的とし, 鍼電極による低周波通電を行った。
研究対象は, 幼稚園・小学生を中心として年4回以上の発熱頻度を呈する83例である。
治療方法は, 合谷と孔最をそれぞれ結び, 1Hzで20分から30分通電した。
治療間隔は, 週1回で3週間を1クールとし経過に応じて再治療を行った。
効果の判定は, 鍼治療後1年間観察した。
その結果83例中6例は経過の観察ができなかった。残り77例のうち9例 (11.7%) は1年間発熱をまったくおこさなかった。49例 (63.6%) は発熱頻度が減少した。また77例のうち39例 (50.6%) は発熱頻度が年3回以下になった。13例は無効であり, 6例は鍼治療後扁桃摘出を行った。
学校保健統計による扁桃肥大の年減少率と比較しても, 鍼による再発予防効果を考察し得る成績であり, 一般化および患者への負担の少ない治療法であることから, 反復性扁桃炎の予防として, 鍼がファーストチョイスされる可能性が高いと考える。

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