全日本鍼灸学会雑誌
Online ISSN : 1882-661X
Print ISSN : 0285-9955
ISSN-L : 0285-9955
特性X線, NMR, ESRによる組織内遷移金属の分析 (II)
筋肉内へのAu鍼刺入による金属イオンの動静 (II)
二本柳 賢司
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 32 巻 3 号 p. 204-209

詳細
抄録
生体での微量元素の多くは金属酵素の活性中心に存在し, 酵素の活性発現と構造維持に不可欠の存在である。金属イオンの大部分は遷移金属であり, それ自身が酸化還元能や加水分解能などの酵素類似作用を持ち, さらに蛋白質と結合して高度の触媒作用を発揮することはよく知られている。
鍼自身はこの遷移金属よりできており, その鍼刺入による諸作用を鍼成分の生体内でのイオン化に起因する諸効果としてとらえ, 生体内金属イオンの存在様式を物理化学, 生化学の観点より研究することの重要性を我々は示してきた。今回の実験も以上の観点をさらに拡張して, 鍼刺入によるイオン化の分布状況を特性X線により分析し, イオンの状態をNMR, ESRにより, 観測したので, その結果をは告する。
(1) 鍼のイオン化によるイオンの分布量Iは鍼刺入部からの拡散距離をχとするとき, I≒10.45(-χ)0.46であった。
(2) イオンの平均拡散速度υは0.6(mm/min)≦υ≦0.9(mm/min)であった。
(3) 刺入金属のイオン化量はファラデーの電気分解の法則に従っていなかった。
著者関連情報
© 公益社団法人 全日本鍼灸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top