全日本鍼灸学会雑誌
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疼痛閾値に対する低周波置鍼の効果
篠原 正明山内 教宏上村 浩一延原 弘明佐藤 暢
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1989 年 39 巻 3 号 p. 300-305

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抄録

今回我々は, 30名の成人で, 輻射熱による疼痛計を用いて疼痛閾値の変動を観察し, 刺鍼部位と閾値上昇部位との関連について検討した。刺鍼場所は, 右手三里と右合谷または右足三里と右梁丘に低周波置鍼をして, 測定部位は, 顔面 (印堂の上2cm), 左右上肢の曲池, および左右下肢の解谿の5か所とした。右手三里・合谷群では, 顔面と両上肢の疼痛閾値は有意に上昇したが, 両下肢は変動がなかった。右足三里・梁丘群では両上肢と両下肢の疼痛閾値は有意に上昇したが, 顔面は有意ではなかった。以上より, 右手三里・合谷群の刺鍼は下肢に効果が少なく, 経穴の刺鍼によって, 全身の疼痛閾値が一様に上昇するのではなく, 効果のある場所と程度に違いがあることが確認された。

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