抄録
足根管症候群に対し, 足根管部への刺絡抜罐手技の有効性を知るために17症例 (27足) に臨床的検討を行なった。治療方法として足根管部への刺絡抜罐手技及び長母趾屈筋等への単刺の単独治療と併用治療を比較検討した。結果は, 併用群で“著効, 有効”が81.3%を占め, 単刺単独群では27.3%であった。“無効”は併用群で1例 (6.2%) であったのに対し, 単刺単独群では27.7%であった。併用群では平均治療回数は2.3回なのに対し単刺単独群は5.7回であり, 併用群でより即効的であった。これ等の結果は足根管部への刺絡抜罐手技の重要性を示している。また, 鍼治療は特発性と思われる本症に対しより有効的な傾向が認められた。症例数が少なく, 比較試験も不十分ではあるが, これまでの結果より足根管部への刺絡抜罐療法が足根管症候群に対し有効な治療法であることが判明した。