われわれは, 新しく開発された「BODYSONICPAD を併用した低周波置鍼療法」について検討した。BODYSONICPAD は, 診療ベッドが音楽の重低音域で微かに振動し、患者はその音楽を共に聞きかつ体感するものである。これに鍼治療を併用した効果について今回検討した。
対象と方法は, 当麻酔科を訪れた慢性の肩凝り患者30名を対象とした。これらの患者を無作為に, (1) 音楽のみ (M群), (2) BODYSONICPAD のみで音楽なし (B群), (3) BODYSONICPAD (MB群), (4)従来の3Hz連続波低周波置鍼療法 (L群), (5) BODYSONICPAD 併用3Hz連続波低周波置鍼療法 (MBL群) の5群に分け, 直後効果と治療中の快適度を比較した。肩凝り症に用いた処方穴は, 使用頻度の高い肩背部の局所穴を基準とした。30ミリ20号鍼を用い, 通電時間は20分間とした。音楽の種類は主にクラシックで, 患者の好みに応じて用いた。効果判定は, 患者の自己評価から4段階 (著効・有効・やや有効・無効) に分け,「著効」+「有効」を改善例とした。なお快適度は11段階に分けて評価した。
直後効果の改善率は, 30名中, M群7例 (23%), B群6例 (20%), MB群10例 (34%), L群18例 (60%), MBL群23例 (77%) となった。すなわち, BODYSONICPAD 併用低周波置鍼療法 (MBL群) は, M群・MB群などの群間の比較において統計上有意差をもって効果が認められた。なお快適度の平均値 (VAS法において最も不快を0とし, 最も快適を10とした場合) は, M群6.3±2.1, B群6.0±2.1, MB群7.0±1.6, L群7.2±1.9, MBL群8.3±1.6となり, MBL群 (BODYSONICPAD 併用低周波置鍼療法) が他に比べてやや優れていた。
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