抄録
(社) 全日本鍼灸学会学術部では, これからの西洋医学との融合を考えたとき, 鍼灸治療の範疇を知る必要性から「鍼灸治療の適応と限界」について調査, 検討を行っている。
今回は, 医学的根拠を問わずに, 会員の先生方が日常の鍼灸治療を行っているなかで, どのような疾患が鍼灸治療に効果があると思っておられるかについて, アンケートによって意識調査を行った。
回収数は返信回答が239名, 手渡し回答が184名であった。
その結果, 鍼灸師の回答が多く, 93.2%を占め, 開業しているのが70.2%であったが, 勤務鍼灸師も44.0%を占めていた。
効果判定では, 主訴と生体反応がともに変化があったと答えたものが50.9%を占めた。臨床を通じて鍼灸治療が効くと思っている疾患は, 腰痛・84.9%, 肩こり・77.3%, 五十肩・75.0%, 膝痛・66.2%, 頸腕症候群・63.7%, 坐骨神経痛・68.5%などで, 鍼灸治療の適応疾患といわれているものと, ほぼ一致した。