1994 年 44 巻 4 号 p. 347-351
複雑多岐にわたる社会環境の中で種々の不定愁訴症状を訴えて鍼灸院へ訪れる患者が増加している。
今回, 一例ではあるが, このような不定愁訴症状を有する患者に対して鍼治療 ((1) 証に基づいた本治法, (2) 全身調整を目的とした太極療法として黒野式全身調整基本穴) を施したところ, 症状に改善がみられた。また客観的に検討するため (社) 全日本鍼灸学会研究委員会不定愁訴班不定愁訴カルテを使用したところ, 鍼治療の有効性を定量的に見出すことが出来た。
不定愁訴の層別からは, 神経症性項目, うつ状態性項目に変化がみられた。