1999 年 49 巻 3 号 p. 393-403
近年、MRIは脊柱の診断を行う上で重要な進展を与えた。
しかし、臨床上MRIによって見い出される異常については、大いに議論がなされている。今回の研究においては、我々は頚肩部及び腰に痛みを有する患者の臨床所見と、MRIとの関係を明らかにする為に検討を行った。
臨床所見の異常は分節性の知覚障害、筋萎縮、根性痛とし、MRI異常所見はbulge、 protrusion、 extrusion、 osteophyteとした。
臨床所見で異常が認められず、MRI所見で異常所見を認めたものは45例中26例 (57.7%) 、MRI所見、臨床所見とも異常を認められたものは45例中14例 (31.1%) 、MRI所見、臨床所見とも正常のものは45例中5例 (11.1%) であった。
これらの結果は臨床において頚、肩、腰に痛みを有する患者では、MRIよりも臨床所見が、より重要であることを示唆した。したがって、鍼灸臨床家は患者の臨床診察をより詳細に行うべきであると考えられる。