全日本鍼灸学会雑誌
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鍼治療後に生じた両側性緊張性気胸の1剖検例
岩楯 公晴伊藤 春雄勝村 聖子松山 永久佐藤 慶太米村 勇伊藤 洋子
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キーワード: , 気胸, 法医病理
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2004 年 54 巻 2 号 p. 137-141

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抄録

現在、鍼治療は世界的に最も一般的な補完代替医療の一つである。気胸は鍼治療に起因する重篤な有害反応の中では最も頻度が高く、誤って胸腔内に刺入された鍼により肺が穿刺されることにより生じると考えられる。鍼治療により気胸が生じた症例はこれまでにも報告されているが、我々が知る限り剖検例の報告はない。
今回我々は、鍼治療後に両側性緊張性気胸が生じ死亡した症例の剖検所見について報告する。症例は治療終了後短時間で呼吸困難と胸痛を訴え、約90分後に死亡した。肉眼的に左右胸腔内の壁側胸膜に数ヶ所の出血斑を認め、同部から胸腔内に鍼が刺入し肺が穿孔されたことが示唆された。また、傍脊柱領域の壁側胸膜には多数の黒色点を認めたが、組織学的には多量の炭粉様穎粒ないしはそれを貧食したマクロファージからなり、以前にも鍼による胸腔内への穿通が生じていた可能性が考えられた。

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