日本臨床麻酔学会誌
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第10回日本麻酔・医事法制(リスクマネジメント)研究会
術野消毒に用いた10%ポビドンヨードによる接触性皮膚炎
原 哲也穐山 大治戸坂 真也趙 成三澄川 耕二
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2004 年 24 巻 9 号 p. 531-534

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抄録
術野の消毒に用いた10%ポビドンヨードによる接触性皮膚炎に対する損害賠償調停申立事件を経験した. 全身麻酔下の手術のために術野を10%ポビドンヨードで消毒し, 拭き取りは行わずに手術を開始した. 終刀後, 右鼠径部に線状小発赤を発見した. 発赤部に対し治療を行うも, 瘢痕を形成し固定した. 退院後, 国と主治医を相手に右鼠径部の病変に対する損害賠償が請求され, 調停の結果, 賠償金の支払いにより和解した. 液状のポビドンヨードとの長時間接触により接触性皮膚炎をきたす可能性がある. 比較的まれな合併症であっても医事紛争に至る例もあり, 日常的な医療行為にも細心の注意が必要である.
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© 2004 日本臨床麻酔学会
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