2005 年 25 巻 1 号 p. 71-80
硬膜外ブロックの無痛域が硬膜外造影で予測できるかを90例の患者で調べた. 無痛域は1.5%リドカインを5ml注入, 硬膜外造影はイオトロラン240mgI・ml -1 を5ml注入して調べた. 患者をカテーテル先端の位置により3群 (C群: C-T4, T群: T5-T10, L群: T11-L) に分け, 広がりのパターンを比較した. 硬膜外造影は無痛域とよく相関した (右側: Y=0.81X+0.16, r=0.92, p<0.01; 左側: Y=0.78X+0.46, r=0.91, p<0.01) . 予想したカテーテル先端と造影上の位置のずれは1.0±0.8椎体であったが, T群がC群 (p<0.05) あるいはL群 (p<0.01) に比し有意に大きかった. 年齢と造影の広がりには統計的には相関がみられたが (r=0.39, p<0.01) , すべての群で造影剤の広がりは個人差が非常に大きく, 予想は困難であった. 硬膜外造影はカテーテルの位置の確認のみならず, 局所麻酔薬の広がりのパターンおよび無痛域の予測に有用である.