日本臨床麻酔学会誌
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ロクロニウムの上手な使い方(第1回)
ロクロニウムの一般的臨床使用の実際—帝王切開術—
奥富 俊之
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2008 年 28 巻 4 号 p. 678-684

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抄録
 一般的には用量を適切に選択すればロクロニウムはスキサメトニウム同様作用発現が速く, 蓄積性が少ないが, 帝王切開術の際に用いるためには, 妊娠という生理的変化, 子宮胎盤血流を介しての胎児の存在, 短時間手術, 全身麻酔が適応となった病態をふまえて使用する必要がある. それらの特殊性ゆえ現段階で, 両筋弛緩薬の優劣はつけ難い. すなわちロクロニウムはスキサメトニウムにみられる副作用の軽減には有用だが, 帝王切開においては作用発現時間, 持続時間の面で完全ではない. したがって帝王切開術に対する全身麻酔の適応と筋弛緩薬の選択には慎重な考慮が必要であり, 一般手術より帝王切開術で遭遇頻度の高い挿管困難に対する対策を万全に整えておくべきである.
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© 2008 日本臨床麻酔学会
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