日本臨床麻酔学会誌
Online ISSN : 1349-9149
Print ISSN : 0285-4945
ISSN-L : 0285-4945
日本臨床麻酔学会第29回大会 シンポジウム ─循環モニター:非侵襲的モニターは侵襲的モニターを超えられるか?─
フロートラックシステムの有用性の検討
福田 功
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 31 巻 1 号 p. 081-090

詳細
抄録

  フロートラックシステムはFloTracTM sensorとVigileoTM monitorからなるキャリブレーションを必要としない連続的動脈圧心拍出量モニター(arterial pressure-based cardiac output:APCO)である.この精度はVersion 3.02では間欠的熱希釈式心拍出量(intermittent cardiac output:ICO)測定値と高い相関を示した.またこのモニターは付加価値として1回拍出量変動(stroke volume variation:SVV)が測定できるが,このSVVは輸液反応性の指標としては有用であると考えられた.しかしAPCOとSVVでは輸液過剰の指標とはならないため,APCOとSVVで循環血液量を適正化し,その後中心静脈圧(central venous pressure:CVP)や肺動脈閉塞圧(pulmonary artery occlusion pressure:PAOP)をモニタリングしながら輸液量をコントロールする方法が望ましいと考えられた.またフロートラックシステムは中心静脈血酸素飽和度(ScvO2)もしくは混合静脈血酸素飽和度(SvO2)が測定できる.これらを前述したAPCO,SVVやCVP,PAOPなどと併せて用いることにより最適な酸素需給バランスを保つことが可能であると考えられた.

著者関連情報
© 2011 日本臨床麻酔学会
前の記事 次の記事
feedback
Top