2011 年 31 巻 2 号 p. 282-291
短時間作用型β遮断薬は周術期の心拍数管理に有用な薬剤であり,適応となる病態は多岐にわたる.使用に際してはその薬物動態,患者の適応病態別の使用法を考慮して安全を確保しながら使用する必要がある.適切な時期に適切な用量を使用する工夫が求められるであろう.軽度の心筋虚血時に使用して虚血を改善させて重篤な心筋虚血イベントに発展させないこと,または心室細動に伴う心筋障害を抑えることができる.心房細動によって生じる心不全や脳塞栓は周術期管理上の大きな問題であるが,短時間作用型β遮断薬を用いてレートコントロールや除細動を行い,循環動態を維持すれば,心不全や脳梗塞の予防につながるであろう.