抄録
脳腫瘍で頻度の高い髄膜腫とグリオーマについて診断・治療的背景を知ることは,麻酔管理に有用である.髄膜腫は一般的に良性腫瘍だが,頻度は少ないが予後不良の悪性髄膜腫が存在する.巨大腫瘍や頭蓋底腫瘍は機能温存を優先した治療が選択され,二期的手術の適応にもなる.グリオーマは一般に予後不良であるが,組織形ではなく背景血管パターンの違いで分類すると,稀突起膠細胞腫系のchicken wireパターンは,星状膠細胞腫系のglomeruloid血管に比べて予後がよい傾向がある.術後の運動障害を避ける目的でmotor evoked potential(MEP)を使用する機会が増えた.北大病院では経頭蓋刺激MEPを片側の大脳半球から刺激して,より感度の高い測定を目指している.