2015 年 35 巻 5 号 p. 595-600
46歳の男性.バイク運転中の交通外傷により骨盤骨折,両側手関節骨折受傷した.当院に救急搬送され,気管挿管後人工呼吸管理および出血性ショックに対して全身管理を行った.ショック状態を離脱した後,骨盤骨折に対し創外固定術が行われ,後日,創外固定抜去術が行われた.一旦退院したが,心不全および肺水腫による呼吸苦出現し再入院となった.多発交通外傷性腱索および乳頭筋断裂による重症僧帽弁閉鎖不全と診断され,僧帽弁置換術および三尖弁形成術が行われた.外傷性僧帽弁閉鎖不全症の早期診断およびその術中麻酔管理には注意が必要である.