2019 年 39 巻 1 号 p. 21-25
55歳,男性.左房浸潤を伴う肺癌に対し,右上葉切除,S6切除および人工心肺を用いた左房部分切除術が予定された.人工心肺使用症例であることから,両側の脳局所組織酸素飽和度(rSO2)をモニターした.胸壁への癒着剥離の際,hemi-clamshell開胸開始後から右rSO2値のみ低下を認めた.胸壁のつり上げに伴い腕頭動脈が狭窄し右脳血流が著明に低下したことが原因と考えた.つり上げ程度の調整により右rSO2値は速やかに改善した.術後は神経学的後遺症なく経過した.本症例ではrSO2測定により術操作に伴う脳血流異常を検知・対応でき,神経学的後遺症を回避できた.