2019 年 39 巻 1 号 p. 26-31
下大静脈(IVC)原発性平滑筋肉腫(LMS)はまれな腫瘍であり,外科的切除が治療の第一選択である.今回,IVC中部から右房内まで進展した巨大なLMSに対し,人工心肺(CPB)と肝臓の自家移植を併用することで肉眼的な完全切除を行った症例を経験した.CPB中の管理は通常の心臓手術に,CPB離脱後の管理は肝移植術に準じて行うことで,非定型的な高侵襲手術であったが,止血を含め良好に管理できた.術前のキャンサーボードを通して得られた診療科間の連携が,麻酔・周術期管理計画の作成に有効であったと考えられた.