2022 年 42 巻 2 号 p. 193-201
オピオイドは短期間に限っていえば,慢性痛に対しての有効性が多くのランダム化比較試験で示されている.しかし,長期間での有効性と安全性は不明である.オピオイドは,鎮痛効果だけでなく多幸感も産出するため依存/乱用を引き起こしやすい.特に米国では慢性痛に対する長期オピオイド療法はここ20年で劇的に増加しており,処方オピオイドによる依存/乱用も増加し,過量使用により死亡する患者が後を絶たない.オピオイドを開始する前には,依存/乱用のリスクファクターを持つ患者のスクリーニングを行うことが必須である.また,オピオイド投与量は不利益が利益を上回らない最小限の投与量にとどめ,長期間の処方は避けるべきである.