日本臨床麻酔学会誌
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全脊椎麻酔における脳脊髄誘発電位の臨床的意義
太田 助十郎松元 茂萱場 恵鈴樹 正大
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1990 年 10 巻 1 号 p. 73-80

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抄録
対象患者6名に全脊椎麻酔(TSB)を行った際,脳波スペクトラム分析とともに,聴性脳幹反応(ABR)あるいは短潜時体性感覚誘発電位(SSEP)を同時に連続測定した.TSBは,C7-Th1より1.5%リドカイン15~20mlのくも膜下腔注入で行った.その結果,(1) ABR (I波以外)とSSEP(Erb電位以外)の各成分はブロック後10分以内に完全に消失し持続した.(2) 58±15 (SD)分後に各消失成分は同時に出現し始めた.この時期は,脳波パワースペクトラムの急速移行と同時に生じた覚醒化よりも平均10分間有意に早かった.(3)このことは,先行する脳脊髄誘発電位波形の再出現をとらえることでTSBの覚醒時期を予測でき,患者への円滑なケアが期待できると思われた.
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