日本臨床麻酔学会誌
Online ISSN : 1349-9149
Print ISSN : 0285-4945
ISSN-L : 0285-4945
口腔癒着症患児の麻酔経験
高岡 誠司天笠 澄夫高橋 達朗堀川 秀男
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 14 巻 1 号 p. 63-67

詳細
抄録

生後3ヵ月の口腔癒着症の麻酔を経験した。開口が不能である本疾患の麻酔上の問題点は,麻酔方法の選択と気道確保の方法である。三叉神経ブロックなどの局所麻酔や,気管内挿管を施行しない全身麻酔は出血への対処,呼吸抑制などの問題がある。われわれは,気管内挿管下の全身麻酔がより安全であると判断した。盲目的経鼻気管内挿管が不成功に終わったため,径2.2mmの喉頭ファイバースコープを用いて3.5mmのチューブを挿管し,笑気-酸素-セボフルランで維持した。極細のファイバースコープは損傷しやすく取り扱いに注意を要するが,これを用いた挿管方法は,乳幼児の挿管困難症例に対して有用な手段であり,麻酔科医はその手技に習熟している必要がある。

著者関連情報
© 日本臨床麻酔学会
前の記事 次の記事
feedback
Top