日本臨床麻酔学会誌
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セボフルランの術後肝機能に対する影響について
ハロタンとの比較検討
古野 敬子土屋 正彦神原 哲也真鍋 雅信細木 靖弘
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1996 年 16 巻 4 号 p. 355-359

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抄録

耳鼻科小手術症例で,笑気併用下にセボフルラン(S群)あるいはハロタン(H群)にて全身麻酔が施行された症例を対象に,セボフルラン麻酔の術後肝機能に対する影響をハロタン麻酔後のそれと比較検討した.肝機能検査項目は手術前と手術後3日目のGOT,GPT,ALP,LDH,γ-GTP,ChE,総ビリルビン(T-Bil)とした.H群は30例(男性16例,女性14例),S群は38例(男性21例,女性17例)で,年齢,身長,体重,手術時間,吸入麻酔薬暴露時間は2群間に有意差を認めなかった.術前の肝機能検査値には有意差を認めず,すべて正常範囲内であった.術前術後の比較ではGOT,GPT,ALP,γ-GTP,ChE値はH群,S群で有意な変化を認めなかったが,LDHは両群で術後に有意に低下し(p<0.01),T-Bilは正常範囲内の変化ではあるがH群のみ術後に有意な上昇を認めた(p<0.01).以上の結果より,セボフルランは術後肝機能に対する影響の少ない麻酔薬であると考えられる.

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