日本臨床麻酔学会誌
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脊椎麻酔後に脳内出血を併発した一症例
河野 昌史北原 雅樹謝 宗安大村 昭人
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キーワード: 脊椎麻酔, 脳内出血
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1998 年 18 巻 7 号 p. 668-671

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抄録

脊椎麻酔後にきわめてまれな合併症と考えられる脳内出血を併発した症例を経験した.患者は既往歴のない健康な16歳男性で,脊椎麻酔下に虫垂切除術が施行された.手術翌日に頭痛,術後2日目に左下肢のしびれを訴え,3日目に左上下肢の不全麻痺が出現する急速な経過をたどった.頭部CTスキャンで脳内出血が発見され,緊急開頭術となった.脊椎麻酔後の脳内出血は,遅発性の経過を経ると報告されている頭蓋内硬膜下血腫と異なり,より重篤である.非典型的な脊椎麻酔後頭痛がみられた場合には,頭蓋内病変の潜在も疑ってCTスキャンなどの検査を進めるべきと考えられた.

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