輸血拒否の意思を明示した患者の手術に医師が応じる状況を場合分けしてみると,
1. 医師が輸血をしないむねを答えた場合
1a. 輸血をしなかった
→何も問題なし.
1b. 輸血をした.
→自己決定権の侵害,債務不履行が問題になりうる.
2. 医師が(必要な場合には)輸血をすることもあるむねを答えた場合
2a. 輸血をしなかった.
→何も問題なし.
2b. 輸血をした.
→(輸血の必要性があれば)問題なし.
(2a.と2b.は,患者が当該医療機関にかかり続けた場合)
2c. 患者が他の医療機関にかかることにした.
→何も問題なし.
3. 医師が(輸血を必要とする事態になる可能性が少ないなどと考えて)何も答えなかった場合
3a. 輸血をしなかった.
→何も問題なし.
3b. 輸血をした.
→自己決定権の侵害(場合により債務不履行)が問題になりうる.と,なる.
以上,輸血拒否患者への対応を整理してみた.どのような立場を取るか,ご参考になれば幸いである.
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