抄録
目的: われわれは細胞診に有用なバーチャルスライドの研究を行っている. そして, 顕微鏡操作と同様の 3 次元表示を可能にした「多焦点画像表示装置 パソグラフ」 (以下, パソグラフ) を完成させた. パソグラフは多焦点画像によりフォーカス表示を含み, 光学顕微鏡と変わらぬ操作性と観察を可能にしたバーチャルスライドである. そこで, 単焦点画像と多焦点画像では細胞像の情報量にどのくらいの差が生じるのか検証してみた.
方法: 標本は婦人科の細胞診標本を用いた. 比較対象は単焦点, 多焦点それぞれフォーカスを合せられる核の数とし, 単焦点 (s)/多焦点 (m)×100 で比較した.
成績: 子宮頸部塗抹標本における対物 20 倍撮影 s/m は平均 20.8%であった. 対物 40 倍撮影の s/m は平均 33.3%であった. 子宮内膜標本における対物 20 倍撮影の s/m は平均 38.7%, 対物 40 倍の s/m は平均 16.8%であった.
結論: 単焦点のバーチャルスライドでは細胞標本の情報を十分に表示することはできない. 細胞診のバーチャルスライドには多焦点表示が必須の技術であると思われた.