日本臨床細胞学会雑誌
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原著
未確診肺腫瘤に対する術中迅速細胞診の有用性
荒木 邦夫福田 智有江 啓二
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2008 年 47 巻 2 号 p. 81-85

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抄録
目的: 当院では術前未確診肺腫瘤に対し, 一期的手術を行ううえで術中迅速細胞診を重要視している. この有用性を検討した.
方法: 2004 年 4 月∼2007 年 5 月の期間で胸腔鏡下に迅速細胞診を行い, 一期的に術式を決定した肺腫瘤 80 例を対象とし, 術中細胞診の精度を解析した. さらに細胞診方法を穿刺細胞診群 25 例と, 腫瘤割面の捺印細胞診群 55 例に分け, 細胞診断結果を分析した.
成績: 術中細胞診陽性 48 例, 陰性 27 例で, 偽陽性 1 例が生じた. 他 5 例は細胞異型が弱いことより術中判定が困難であった (感度 90.4%, 特異度 96.4%, 正診率 92.5%). 偽陽性例は穿刺細胞診群に含まれ, 術後組織診で肉芽腫 (非結核性抗酸菌症) と診断された. 術中細胞診判定困難例はいずれも肺腺癌 (粘液腺癌 1 例, 細気管支肺胞上皮癌 4 例) と最終的に診断された.
結論: 当院での未確診肺腫瘤に対する術中細胞診の診断成績は, 判定困難例を除くと良好であった. 判定困難例はすべて細胞異型の弱い腺癌であり, 一般的にも細胞診判定が困難な症例であった. 穿刺細胞診のみでの陽性判定は, 偽陽性例の潜在を考慮し慎重に行う必要があると考えられた.
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© 2008 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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