目的: 体腔液細胞診による中皮腫の確定診断法について検討した.
方法: 当院において過去 2 年間に体腔液細胞診で診断された中皮腫 6 例 (5 例: 胸膜中皮腫, 1 例: 腹膜中皮腫) について検討した. 体腔液細胞診で中皮腫が疑われたため, 確定診断のために 4 例に対しては細胞転写法を, 2 例に対してはセルブロック法を用いて免疫化学染色を行った. 免疫化学染色の抗体として, カルレチニン, CK5/6, D2-40, トロンボモジュリン, メゾセリン, CEA, EMA, E-cadherin, p53 蛋白が用いられた.
成績: カルレチニンは 6/6 例 (100%) , CK5/6 は 6/6 例 (100%) , D2-40 は 6/6 例 (100%) , トロンボモジュリンは 6/6 例 (100%) , メゾセリンは 6/6 例 (100%) , CEA は 0/6 例 (0%) , MOC31 は 0/6 例 (0%), EMA は 5/6 例 (83%), E-cadherin は 5/6 例 (83%), p53 蛋白は 6/6 例 (100%) に陽性であり, 6 例全例が体腔液細胞診で中皮腫と確定診断された.
結論: 体腔液細胞診において細胞転写法あるいはセルブロック法を用いて, 複数の抗体に対して免疫化学染色を行うことにより中皮腫の確定診断が可能であった.
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