日本臨床細胞学会雑誌
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47 巻 , 2 号
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原著
  • 荒木 邦夫, 福田 智, 有江 啓二
    2008 年 47 巻 2 号 p. 81-85
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/10
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    目的: 当院では術前未確診肺腫瘤に対し, 一期的手術を行ううえで術中迅速細胞診を重要視している. この有用性を検討した.
    方法: 2004 年 4 月∼2007 年 5 月の期間で胸腔鏡下に迅速細胞診を行い, 一期的に術式を決定した肺腫瘤 80 例を対象とし, 術中細胞診の精度を解析した. さらに細胞診方法を穿刺細胞診群 25 例と, 腫瘤割面の捺印細胞診群 55 例に分け, 細胞診断結果を分析した.
    成績: 術中細胞診陽性 48 例, 陰性 27 例で, 偽陽性 1 例が生じた. 他 5 例は細胞異型が弱いことより術中判定が困難であった (感度 90.4%, 特異度 96.4%, 正診率 92.5%). 偽陽性例は穿刺細胞診群に含まれ, 術後組織診で肉芽腫 (非結核性抗酸菌症) と診断された. 術中細胞診判定困難例はいずれも肺腺癌 (粘液腺癌 1 例, 細気管支肺胞上皮癌 4 例) と最終的に診断された.
    結論: 当院での未確診肺腫瘤に対する術中細胞診の診断成績は, 判定困難例を除くと良好であった. 判定困難例はすべて細胞異型の弱い腺癌であり, 一般的にも細胞診判定が困難な症例であった. 穿刺細胞診のみでの陽性判定は, 偽陽性例の潜在を考慮し慎重に行う必要があると考えられた.
  • 山口 知彦, 河原 明彦, 湊 宏, 大田 俊一郎, 藤吉 啓造, 牛嶋 公生, 嘉村 敏治, 鹿毛 政義
    2008 年 47 巻 2 号 p. 86-94
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/10
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    目的: 子宮頸部神経内分泌腫瘍の臨床病理所見と細胞学的特徴を明らかにする.
    方法: 7 例の子宮頸部神経内分泌腫瘍を対象とした. 7 例の内訳は 1 例が非定型的カルチノイド (AC), 3 例が大細胞神経内分泌癌 (LCNEC), 3 例が小細胞癌 (SmCC) である. 対象症例における臨床像および細胞核所見, 免疫組織化学所見を解析し, 他の子宮頸癌との比較検討を行った.
    成績: AC と SmCC は小型細胞が主体であり, 集塊∼孤在性に出現していた. LCNEC は大型集塊または孤在性に出現し, 豊富な細胞質と不整形核小体を有した. SmCC の核は楕円形を呈し, LCNEC の核は最大であった. AC と SmCC は上皮内腺癌や小型の非角化型扁平上皮癌との鑑別が, LCNEC は腺癌や非角化型扁平上皮癌との鑑別が特に問題であった. 7 例での chromogranin A, synaptophysin, CD56 の発現はそれぞれ 71, 100, 100%であった.
    結論: 子宮頸部神経内分泌腫瘍は, 他の組織型を合併することがあるが, 細胞の結合性, 核クロマチン, 核線などの細胞学的特徴を適確に把握することにより, 他の子宮頸癌との鑑別が可能となると考えられた.
  • 町田 大輔, 西村 由香里, 横山 大, 豊永 真澄, 柿沼 廣邦, 服部 学, 山下 和也, 上坊 敏子, 渡辺 純, 岡安 勲
    2008 年 47 巻 2 号 p. 95-102
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/10
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    目的: 子宮内膜細胞診において, Thinlayer 標本と従来の塗抹標本 (Conventional 標本) の診断成績を比較し, Thinlayer 標本の特性を明らかにする.
    方法: 内膜組織診とエンドサイトによる内膜細胞診を同一日に施行した 96 例を対象とした. 塗抹後のエンドサイトから Thinlayer 標本を作製し, 従来の診断基準で Thinlayer 標本も診断した. 組織診の結果を基に, 両細胞診標本の感度および特異度を求め, 細胞塗抹量, 鏡検時間, 細胞像について検討した.
    成績: Conventional 標本の感度/特異度は 87.0%/89.4%, Thinlayer 標本は 73.9%/70.2%であり, 後者が低かったがいずれも有意差は認めなかった. Thinlayer 標本は重積性が軽減され, 背景の赤血球や炎症細胞が大きく減少していた. 鏡検時間は Thinlayer 標本で有意に短縮された. しかし Conventional 標本とは異なる細胞像を示す傾向があった.
    結論: Thinlayer 標本による内膜細胞診標本は Conventional 標本と同程度の感度/特異度であり, Thinlayer 標本の特性を十分理解したうえで臨床応用は可能と思われる.
  • Shotaro MAEDA, Masaru HOSONE, Hironori KATAYAMA, Hiromi IWASE, Kiyoko ...
    2008 年 47 巻 2 号 p. 103-110
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/10
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    目的: 体腔液細胞診による中皮腫の確定診断法について検討した.
    方法: 当院において過去 2 年間に体腔液細胞診で診断された中皮腫 6 例 (5 例: 胸膜中皮腫, 1 例: 腹膜中皮腫) について検討した. 体腔液細胞診で中皮腫が疑われたため, 確定診断のために 4 例に対しては細胞転写法を, 2 例に対してはセルブロック法を用いて免疫化学染色を行った. 免疫化学染色の抗体として, カルレチニン, CK5/6, D2-40, トロンボモジュリン, メゾセリン, CEA, EMA, E-cadherin, p53 蛋白が用いられた.
    成績: カルレチニンは 6/6 例 (100%) , CK5/6 は 6/6 例 (100%) , D2-40 は 6/6 例 (100%) , トロンボモジュリンは 6/6 例 (100%) , メゾセリンは 6/6 例 (100%) , CEA は 0/6 例 (0%) , MOC31 は 0/6 例 (0%), EMA は 5/6 例 (83%), E-cadherin は 5/6 例 (83%), p53 蛋白は 6/6 例 (100%) に陽性であり, 6 例全例が体腔液細胞診で中皮腫と確定診断された.
    結論: 体腔液細胞診において細胞転写法あるいはセルブロック法を用いて, 複数の抗体に対して免疫化学染色を行うことにより中皮腫の確定診断が可能であった.
症例
  • 花見 恭太, 大澤 久美子, 扇田 智彦, 森 茂久, 得平 道英, 黒田 一, 田丸 淳一, 糸山 進次
    2008 年 47 巻 2 号 p. 111-115
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/10/08
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    背景 : RA 治療に MTX を使用した症例に悪性リンパ腫の発生することが知られている. 今回われわれは, MTX を用いた RA の治療中に発生した CHL 2 例を経験したので報告する.
    症例 : 症例 1 は 50 代女性, 6 年間の MTX 治療後, 右腋窩リンパ節の腫脹がみられ, 生検が行われた. 症例 2 は 60 代男性, 1 年間の MTX 治療後カリニ肺炎を発症, その後右鼡径部および左頸部リンパ節の腫脹がみられ, 左頸部リンパ節生検が行われた. 2 例ともに捺印細胞診では, 小型のリンパ球, 組織球などを背景に著明な核小体を有する大型の HRS 細胞を散在性に認めた. 組織学的にも HRS 細胞が散見されたが, それらは免疫組織学的に, 症例 1 では CD30 と CD15 が陽性, CD20 陰性, 症例 2 では CD30, CD79a が陽性, CD20 が一部の細胞に弱陽性, CD15 が陰性を示していた.
    結論 : 細胞学的には典型的な CHL の像であったが, 本 2 例は臨床経過を踏まえると, WHO 分類で免疫不全関連リンパ増殖症の亜型として分類される MTX 関連リンパ増殖症に相当するものと考えられた. また, 免疫組織学的に症例 1 は通常の CHL のパターンであったが, 症例 2 は Hodgkin-like LPD と診断すべきだったと考えられた. このような症例は複雑な臨床経過をたどることが多く, 診断には疾患背景をよく理解したうえでの総合的な判断が必要と考えられた.
  • 佐々木 健司, 神田 真規, 米原 修治, 岩田 和宏, 森 直樹, 倉西 文仁, 黒田 義則
    2008 年 47 巻 2 号 p. 116-121
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/10/08
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    背景 : 唾液腺のオンコサイト癌はきわめてまれな上皮性悪性腫瘍である. ここでは, 顎下腺に発生したオンコサイト癌について穿刺吸引細胞所見を中心に報告する.
    症例 : 55 歳, 男性で, 1 年前より右顎下部の腫瘤を自覚していたが, 増大してきたため, 来院した. 顎下腺の穿刺吸引標本では, きれいな背景の中に上皮性結合を示す細胞集塊が多数みられた. 集塊は不規則重積配列を示していた. 細胞質は顆粒状で豊富であり, 境界は不明瞭であった. 核は円形で大小不同は著しく, 核形不整を示す細胞や巨大な核をもつ細胞が混在していた. クロマチンは増量し, 単個の大型核小体が目立った. 背景はきれいであり, 細胞配列に極性がない点や顆粒状の豊富な細胞質をもち, きわめて強い異型性を伴っている点を考慮してオンコサイト癌を推定した. 病理組織学的には好酸性顆粒状の豊富な細胞質をもつ腫瘍細胞が充実性ないし小胞巣状に増殖していた. 個々の細胞は多形性を示し, 核小体は大型であった. 腫瘍細胞は顎下腺周囲の軟部組織に浸潤し, 神経周囲浸潤が目立った. Phosphotungstic acid-hematoxylin (PTAH) 染色では細胞質に紺色の顆粒が認められ, 抗 mitochondria 抗体を用いた免疫染色でも陽性所見を呈した. 以上の所見よりオンコサイト癌と診断した.
    結論 : 高悪性度型オンコサイト癌の細胞診では, 細胞の異型性や顆粒状細胞質に着目すれば診断可能であると考えられた.
  • 平林 陽介, 小川 命子, 橋本 尚子, 藤原 美恵子, 鈴木 高祐, 尾辻 瑞人, 澤田 達男, 橋本 洋
    2008 年 47 巻 2 号 p. 122-126
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/10/08
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    背景 : 滑膜肉腫の多くは四肢の大関節近傍に発生し, 肺原発のものはまれである. 今回われわれは肺原発滑膜肉腫の 1 例を経験したので報告する.
    症例 : 48 歳, 男性. 検診にて右肺に腫瘤陰影を指摘された. CT や MRI 検査で右肺門部に長径 5 cm の辺縁明瞭な球状腫瘤を認め, 肺癌や肉腫が疑われ, 右上中葉切除術が施行された. 捺印細胞診では, 紡錘形から類円形の腫瘍細胞が, 束状や錯綜状および孤立散在性に出現しており, 核密度が高かった. 細胞は比較的均一で N/C 比はやや高く, 細胞質は均質でライト緑に淡染し辺縁不明瞭であった. 核は紡錘形から類円形でときに切れ込みを有し, クロマチンは細顆粒状均一で, 小型核小体を数個認めた. 組織学的には紡錘形腫瘍細胞が密に束状増殖し, 免疫組織化学的には vimentin, CD99, bcl-2, cytokeratin AE1/AE3, EMA が陽性であった. パラフィン切片からの RT-PCR で融合遺伝子 SYT-SSX1 が証明され, 単相性線維型滑膜肉腫と診断した.
    結論 : 肺原発の滑膜肉腫はまれな腫瘍である. 紡錘形細胞主体の腫瘍の鑑別は難しく, 滑膜肉腫も鑑別の一つにあげながら, 免疫組織化学的検索や遺伝子検索が必要と考えられた.
  • 倉林 工, 松下 宏, 阿部 伸子, 苅部 豊, 清野 俊秀, 志田 幸江, 橋立 英樹, 渋谷 宏行
    2008 年 47 巻 2 号 p. 127-130
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/10/08
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    背景 : 卵巣小細胞癌, 高カルシウム (Ca) 型は, その発生起源が不明で, 若年女性に発症し, 有効な治療法も確立されていない予後不良のまれな腫瘍である.
    症例 : 24 歳未婚 0 妊 0 産. 主訴は腹部膨満感で, 入院時軽度の意識障害あり, 補正血清 Ca 20.0 mg/dl, parathyroid hormone-related peptide (PTHrP) 29.5 pmol/l (正常<1.1) であった. 開腹すると割面が白色充実性一部嚢胞性の左卵巣腫瘍 (約 20 cm 大, 2100 g) を認めた. 大網に微小転移像を認め, 術後診断は卵巣小細胞癌 (高 Ca 型) 臨床進行期IIIa 期であった. 腫瘍捺印細胞像は, 結合性疎な N/C 比大の小型異型細胞がシート状にみられ, 管腔, 濾胞状形成を示す集塊も存在した. 核は類円形∼やや楕円形で大小不同を示し, 1∼数個の小型核小体を有し, クロマチンは細顆粒状∼顆粒状で, 核分裂像や核溝も散見された. 免疫染色では PTH 陰性, PTHrP 弱陽性であった. 術後高 Ca 血症が改善したが, 本人は化学療法を希望せず, 癌性腹膜炎が急激に進行し術後約 2 ヵ月で永眠した.
    結論 : 卵巣小細胞癌, 高 Ca 型の診断には, 高 Ca 血症による臨床所見とともに, 腫瘍捺印細胞像と免疫染色による PTHrP 陽性所見も参考所見になると考えられた.
  • 石原 明徳, 河合 美穂, 小山 英之, 前田 勝彦, 中野 洋
    2008 年 47 巻 2 号 p. 131-136
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル 認証あり
    背景 : 細胞質内小腺腔 (ICL) は, 乳癌の診断に有用な細胞所見とされているが, 穿刺吸引細胞診で多数の ICL が観察された乳腺腺筋上皮腫の 1 例を報告する.
    症例 : 患者は 61 歳, 女性で右乳房 C 領域の腫瘤を訴え来院した. 超音波検査で後方エコーの増強した境界明瞭な低エコー腫瘤がみられた. 腫瘤の FNA では腺上皮細胞と筋上皮細胞とからなる結合性強固な細胞集塊が観察された. 多辺形あるいは紡錘形の筋上皮細胞に核異型, 核内細胞質封入体および細胞質内空胞 (soap bubble 像) が認められ, 腺上皮細胞には核異型と多数の ICL が観察された. 細胞診は悪性の疑いと判定した. 病理組織診断は腺筋上皮腫であった.
    結論 : 本例のように腺上皮細胞に ICL や核異型のみられる腺筋上皮腫は乳管癌と鑑別診断が難しく, 診断確定には針生検が必要である.
  • Shotaro MAEDA, Hironori KATAYAMA, Yumi MASUDA, Hiromi IWASE, Zenya NAI ...
    2008 年 47 巻 2 号 p. 137-141
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル 認証あり
    背景 : 結節性筋膜炎は良性疾患であるが, 偽肉腫性線維腫症ともいわれ, 急速に増殖し, 細胞診断時に肉腫との鑑別が問題となる. 穿刺吸引細胞診で結節性筋膜炎と推定診断しええた, エストロゲン・レセプター (ER) 陽性のまれな乳房内結節性筋膜炎の 1 例を経験したので報告する.
    症例 : 35 歳, 女性. 右乳房 C 領域に 2×1×1.5 cm 大の可動性良好な腫瘤を触知した. 穿刺吸引細胞診では類円形∼楕円形の核を有する, 均一な紡錘形の線維芽細胞が豊富にみられ, その背景には炎症性細胞, 粘液様物質を認めた. Class II と判定し, 結節性筋膜炎と推定診断した. 針生検でも線維芽細胞が組織培養様の所見を呈して増殖し, 炎症性細胞, 間質性粘液様物質もみられ, 結節性筋膜炎と組織診断した. 臨床的には悪性が疑われたため切除生検が行われた. 腫瘤は筋膜に接する結節性筋膜炎で, ER 陽性であった.
    結論 : 乳腺腫瘤の穿刺吸引細胞診で紡錘形の線維芽細胞がみられたときには, 結節性筋膜炎の可能性を念頭におく必要がある.
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