日本臨床細胞学会雑誌
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症例
胸水中に腫瘍細胞が出現した副鼻腔原発悪性黒色腫の 1 例
木村 朋子森 正樹前川 秀樹太田 諒法木 左近今村 好章
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2008 年 47 巻 3 号 p. 211-215

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抄録
背景 : 鼻腔・副鼻腔原発の悪性黒色腫は比較的まれであり, 胸水中に腫瘍細胞が出現した例の報告はきわめてまれである. 今回, 胸水中に腫瘍細胞が出現した副鼻腔原発悪性黒色腫の 1 例を経験したので報告する.
症例 : 72 歳, 女性で, 鼻出血を主訴に来院した. 頭部 CT により左副鼻腔から眼窩内および頭蓋底に浸潤する腫瘍を認め, 生検が施行された. 組織学的には, 主に副鼻腔粘膜下に核異型の高度な上皮様腫瘍細胞の胞巣状発育がみられた. 一部の腫瘍細胞の細胞質内にメラニン顆粒を認め, 粘膜内にも少数の腫瘍細胞が存在していたことから副鼻腔原発悪性黒色腫と診断した. その後, 呼吸困難が出現し, 左大量胸水のため, 胸水細胞診が施行された. 細胞学的には, 血性の背景に腫瘍細胞が小集塊状あるいは孤立散在性に比較的多数出現していた. 腫瘍細胞核は大型・空胞状で好酸性の核小体が目立ち, 細胞質はライトグリーン好性で厚みがあったが, 明らかなメラニン顆粒は認められなかった. しかし, 免疫細胞化学的にはメラノサイトのマーカーである melan A (MART-1), PNL2 (melanoma), HMB45 および S100 蛋白がすべて陽性であった. 以上の細胞所見と臨床経過を併せて左副鼻腔原発悪性黒色腫の左胸腔転移と診断した.
結論 : 胸水中の腫瘍細胞にメラニン顆粒が確認できなかったため, 悪性中皮腫や転移性癌との鑑別が問題となったが, 本症例の確定診断には免疫細胞化学的染色が有用であった.
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© 2008 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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