抄録
背景 : 眼内悪性リンパ腫はまれな腫瘍であり, ブドウ膜炎との鑑別が難しく, 診断が困難とされる. 今回, 眼球硝子体内容液細胞診で診断しえた眼内悪性リンパ腫の 1 例を経験したので報告する.
症例 : 77 歳, 男性. 両眼混濁が出現したため近医を受診し, ブドウ膜炎を疑われ加療を受けるも改善せず, 当院紹介となった. 明らかな腫瘤を認めなかったが, 混濁の著しい右眼の硝子体に対し試験的に穿刺細胞診を行ったところ, リンパ腫細胞を認めた. その後, 左眼に対しても硝子体内容液の細胞診を行い, 右眼と同様にリンパ腫細胞を認めた. ブアン固定 cell block 標本を用いて, 免疫細胞化学染色を行い, diffuse large B cell lymphoma と診断した. さらに, PCR 法を用いて免疫グロブリン遺伝子再構成の検索を行ったところ, 単クローン性の増殖が確認された.
結論 : 明らかな腫瘤形成がなく組織生検が不可能で, 細胞診検体が唯一の確定診断材料となった眼内悪性リンパ腫の 1 例を経験した.