日本臨床細胞学会雑誌
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症例
骨・軟骨化生を伴った乳癌の 1 例
村石 佳重川畑 智子藤田 正志岩原 実横内 幸大原関 利章高橋 啓岡本 康
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2009 年 48 巻 1 号 p. 27-31

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抄録

背景 : 浸潤癌の特殊型に分類されるきわめてまれな骨・軟骨化生を伴った乳癌を経験した.
症例 : 77 歳, 女性. 左乳頭血性分泌を主訴に来院. CD 領域に 30 mm 径の腫瘤を触知し諸検査にて悪性が疑われたため, 針生検後左乳房切除術が施行された. 術中に施行した穿刺吸引ならびに腫瘍捺印細胞診では, 腫瘍細胞は上皮性結合の明瞭な癌腫細胞, 散在性分布を示す紡錘形の肉腫様細胞とともに, 弱い細胞間結合を示す卵円形細胞の小集塊からなる移行像が観察された. さらに, 頻度は低いが軟骨化生を見い出すことができた. これら細胞像は組織標本と対応可能であった.
結論 : 骨・軟骨化生を伴う乳癌の診断には骨・軟骨化生像を見い出すことが重要であるが, その出現頻度は低い. このような場合, 上皮性細胞, 肉腫様細胞とともに両者の移行像である卵円形腫瘍細胞に注目することが, 本組織型を推測するうえで重要であると考えられた.

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© 2009 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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