抄録
目的 : 膵の嚢形成を伴わない solid pseudopapillary tumor (SPT) の組織形態の成り立ち, 細胞像および免疫組織化学的プロフィールの特徴を検討した.
方法 : SPT と対照の内分泌腫瘍 (ET) について組織標本および細胞標本の観察と免疫組織化学的検索を行った.
成績 : SPT は上皮様細胞の樹枝状間質を伴う充実性増殖から成り, その規模増大につれて実質域中心に変性壊死を生じ, そこにスペースと偽乳頭状構造を形成した. 腫瘍細胞は大きさの一様な小型類円形で, 円形核と細顆粒状の核クロマチンを有する. 結合性が弱く孤在性が多く, 免疫組織学的に VM, α1-antichymotrypsin, NSE と CD56 に陽性, CK と chromogranin A に陰性, βcatenin と cyclin D1 の核内集積を示した. ET は類似の細胞像を呈したが, 核の大小不同, 粗顆粒状の核クロマチン, CK 陽性, chromogranin A 陽性, VM 陰性が対比的であった.
結論 : SPT は特徴的な組織形態と細胞像を示し, 免疫組織化学的検討から上皮・間葉・内分泌の分化を超えた pluripotential stem cell に由来する可能性が示唆された.