日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
症例
腹膜悪性中皮腫の 1 例
—細胞転写法およびセルブロック法の有用性—
鈴村 香奈芽前田 昭太郎細根 勝片山 博徳東 敬子岩瀬 裕美劉 愛民内藤 善哉
著者情報
ジャーナル 認証あり

2009 年 48 巻 4 号 p. 181-186

詳細
抄録

背景 : 中皮腫の早期診断には体腔液細胞診が有用であるが, 診断に難渋する症例も多い. 体腔液細胞診のみで中皮腫と確定診断した腹膜悪性中皮腫の 1 例を経験したので報告する.
症例 : 59 歳, 男性. 原因不明の腹水貯留にて来院した. PET で異常所見なし. 細胞所見は, 組織球などの炎症細胞を背景に核小体が肥大した 2 核∼多核の中皮細胞が多数みられ, 相互封入像も認めたことから中皮腫と推定診断した. 時間の経過とともに乳頭状集塊もみられた. 細胞転写法を用いた免疫細胞化学染色を行い, calretinin, CK5/6, mesothelin, D2-40, E-cadherin, EMA, p53 (陽性率 : 51%) 陽性, CEA, MOC31, Ber-EP4 陰性であった. さらに, 腹水から作製したセルブロックによる電顕検索で細長い微絨毛を豊富に認め, 中皮腫と確定診断した.
結論 : 体腔液細胞診では診断に難渋する中皮腫でも, 細胞転写法を用いた複数の抗体による免疫細胞化学染色およびセルブロック法による電顕検索を行うことにより, 腹水材料のみでも悪性中皮腫と確定診断することは可能である.

著者関連情報
© 2009 公益社団法人 日本臨床細胞学会
前の記事 次の記事
feedback
Top