日本臨床細胞学会雑誌
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症例
体腔液中に腫瘍細胞が出現した皮膚原発悪性黒色腫の 6 例
佐藤 孝之藤井 丈士矢野 哲也吉田 文子中山 大子大橋 健一
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2009 年 48 巻 4 号 p. 187-191

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抄録

背景 : 悪性黒色腫は欧米に比べて日本では罹患率が低く, 日常の細胞診断業務のなかで体腔液中に出現した細胞像を経験することは少ない. 体腔液中に腫瘍細胞が出現した悪性黒色腫症例をさかのぼって検索してその臨床的背景と細胞学的特徴を検討した.
症例 : 1989∼2008 年の約 20 年間に虎の門病院病理部において悪性黒色腫の組織診断が付されたのは 406 件/256 名であり, 経過中に体腔液細胞診が施行された 13 名のうち, 悪性黒色腫細胞の体腔液中への出現は 6 名 (2.3%) にみられた. 6 例の内訳は胸水 5 例/腹水 1 例で, 患者は男 5 名/女 1 名で年齢は 26∼72 歳 (中央値 56 歳). 全例が皮膚原発で, 体腔液貯留は原発巣診断後 5.5∼135 ヵ月 (平均 31.7 ヵ月) に出現した. 予後不良で全例死亡し, 体腔液細胞診における腫瘍細胞出現から死亡までの期間は 18∼45 日 (平均 38.2 日) であった. 診断に有用な細胞学的所見として, 結合性低下 (6/6), 著明な核小体 (6/6), 多核化 (5/6), メラニン顆粒 (4/6), 細胞質の空胞化 (5/6) が挙げられた. 小集塊状に出現した例 (3/6) も認めた. 背景所見として全例に反応性中皮細胞やリンパ球の出現を認めた.
結論 : 体腔液中に出現する悪性黒色腫ではメラニン顆粒がみられない場合, 悪性黒色腫の診断は臨床経過なしには困難なことが多く, 悪性中皮腫や反応性中皮細胞, 低分化腺癌が鑑別診断に挙げられる. 臨床経過や免疫細胞化学 (MART1/melan A, HMB45, S100) を併せた総合的なアプローチが有用と考えられる.

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© 2009 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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