日本臨床細胞学会雑誌
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特集 <甲状腺穿刺細胞診—濾胞性腫瘍の問題点—>
甲状腺濾胞性腫瘍の診断基準と診断精度
—伊藤病院での検討—
藤澤 俊道森光 理絵平木 朋子高橋 真帆田村 恵佐々木 栄司亀山 香織玉井 誠一鳥屋 城男伊藤 公一
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2010 年 49 巻 1 号 p. 42-47

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抄録

目的 : 甲状腺穿刺吸引細胞診の濾胞性腫瘍の判定における診断精度は必ずしも高くない. 今回その現状を把握するため, 濾胞性腫瘍細胞診の判定基準について検討した.
方法 : 2006 年に施行した細胞診は 4505 件である. このうち, 濾胞性腫瘍と判定した 197 例のうち, 手術を施行した 93 例を対象とし, 良・悪性判定困難 (favor benign, borderline, favor malignant), 悪性の疑い, 悪性, の 5 群の判定区分に診断し, その診断成績を検討した.
成績 : 93 例中, 良・悪性判定困難 favor benign とした症例は 54 例 (58.0%) で, そのうち濾胞癌は 6 例 (11.1%) であった. borderline とした症例は 10 例 (10.8%) で, 濾胞癌は 5 例 (50.0%), favor malignant とした症例は 20 例 (21.5%), 濾胞癌は 10 例 (50.0%). 悪性の疑いとした症例は 9 例 (9.7%), 濾胞癌は 3 例 (33.3%) であった. favor malignant と悪性の疑いとした症例 29 例中, 13 例 (44.8%) が実際には濾胞癌であった.
結論 : 鑑別困難を悪性の確立より亜分類することは, 高頻度に悪性を含む例を抽出可能であり濾胞腺腫と濾胞癌の推定に有用である.

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© 2010 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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