日本臨床細胞学会雑誌
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症例
Collagenous stroma を伴う多数の反応性中皮細胞集塊が出現した腹水細胞診の 1 例
羽原 利幸園部 宏海原 恭子藤村 紀行三浦 弘守畠 榮森谷 卓也亀井 敏昭
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2010 年 49 巻 5 号 p. 356-360

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抄録

背景 : 腹水中の collagenous stroma (以下 CS) を有する細胞集塊の出現は, 悪性細胞を示唆する所見とされる. 今回, 腹水中に CS を有する多数の反応性中皮細胞集塊が出現した腹水細胞診の 1 例を経験したので報告する.
症例 : 患者は 46 歳の女性で, 肝原発神経内分泌細胞癌の術後 4 ヵ月目に再発と腹膜播種をきたした. 化学療法と動注療法の効果はなく, 腹水が出現した. 腹水細胞診では, CS を取り囲む細胞集塊が多数認められた. 集塊を構成する細胞は, 類円形から立方形を呈し, 細胞質はライトグリーン好性, 核は類円形で, クロマチンの増量はなかった. 免疫染色では, 集塊を形成する細胞は WT-1, calretinin, podoplanin に陽性, EMA は細胞膜に陰性, 細胞質に弱陽性であり, 反応性中皮と診断された. 多数みられた CS は, いずれも周辺部が type-IV collagen に陽性を示した.
結論 : 腹水細胞診では, 悪性病変のみならず, 反応性中皮にも CS を伴う細胞集塊が多数出現する場合があるため, 十分な認識が必要である.

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© 2010 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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