日本臨床細胞学会雑誌
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原著
高齢者乳腺良性乳頭状病変の細胞学的検討
馬嶋 恵子平石 美奈鈴木 明美小岩井 英三笠原 一郎本間 尚子沢辺 元司新井 冨生
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2011 年 50 巻 2 号 p. 101-108

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抄録

目的 : 乳腺乳頭状病変の細胞学的判定において, 良悪性鑑別に重要とされている所見が高齢者病変でも有用か否かを明らかにすることを目的とした.
方法 : 65 歳以上の高齢者に発生し, 穿刺吸引細胞診と組織学的診断が得られた乳管内乳頭腫 (intraductal papilloma : 以下 IDP) 3 例と乳管腺腫 (ductal adenoma : 以下 DA) 2 例を対象とした. これらと乳頭状病変のみられた悪性 8 例とを臨床細胞学的に比較検討した.
成績 : 高齢者良性乳頭状病変は 5 例中 3 例が画像診断を含め臨床的に悪性ないし悪性疑いと判定された. 細胞学的には良性病変全例で間質成分を含め多量の細胞が採取された. 筋上皮細胞・アポクリン化生細胞は良性病変でそれぞれ 3 例, 4 例にみられたが, 悪性病変では認められなかった.
結論 : 乳頭状病変の細胞学的良悪性鑑別点は年齢を問わず同じであるが, 高齢者例では臨床的に悪性と判定されることが多いので細胞学的判定には十分注意を払う必要がある.

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© 2011 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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