日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
原著
乳腺原発の悪性リンパ腫の 13 例における細胞学的および免疫組織化学の検討
小畠 勝己竹下 盛重松本 慎二神原 豊大神 明子鍋島 一樹西山 尚子鵜池 直邦宮久 禎中島 豊
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 50 巻 5 号 p. 270-278

詳細
抄録

目的 : 乳腺原発悪性リンパ腫 (primary breast malignant lymphoma, 以下 PBML) の細胞組織学的特徴と免疫細胞形質を明らかにした.
方法 : PBML13 例の捺印標本について細胞像を検討し, 免疫組織学的, 臨床的特徴を加えた.
成績 : 全例 B 細胞性であり, 10 例はびまん性大細胞 B リンパ腫 (diffuse large B cell lymphoma, 以下 DLBCL) であった. CB (centroblastic) 型は 6 例で, 多数の大型核を有し, 明瞭な核小体が認められた. CB/B (centroblastic/Burkitt) 型は 1 例で, 中∼大型細胞で, 核小体が目立たなく, Giemsa 染色では好塩基性細胞質と打ち抜き空胞が認められた. Mixed (pleomorphic mixed) 型は 3 例で, 出現大型細胞は少数で核は多形性を示した. MALT (mucosa-associated lymphoid tissue) 型は 3 例で, 核は中型で凝集クロマチンを示し形質細胞に類似していた. 免疫組織学的に DLBCL の全例 MUM-1 が陽性, 内 2 例にて CD10 が共発現した. MUM-1 の反応は, CB 型で強く, Mixed 型は弱陽性を示した. DLBCL は, MIB-1 抗体に 60∼90%陽性, MALT 型は 10∼30%の陽性率を示した. 臨床的に平均年齢は 64.4 歳, DLBCL10 例の 5 年生存率は 65%であり, CB 型の 2 例のみ腫瘍死した.
結論 : PBML は大細胞型が多く, 特徴的な 3 亜型が認められた. 免疫形質では DLBCL の 8 例が非胚中心型細胞の性格を有し, CB 型は MUM-1 の強発現がみられた. MALT リンパ腫例も少数みられた. PBML の捺印標本細胞診断上, 詳細な特徴を知ることは, 乳房腫瘤性病変を鑑別するうえで重要と考えた.

著者関連情報
© 2011 公益社団法人 日本臨床細胞学会
前の記事 次の記事
feedback
Top