日本臨床細胞学会雑誌
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症例
第 3 脳室に発生した chordoid glioma の 1 例
仲村 佳世子北野 正文藤本 正数坂下 裕美弓場 吉哲
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2011 年 50 巻 5 号 p. 283-288

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抄録

背景 : 成人の第 3 脳室に発生した chordoid glioma (脊索腫型膠細胞腫) の 1 例を経験したので報告する.
症例 : 50 歳代, 女性. 突然の頭痛, 嘔吐を主訴とし前医を受診. CT 及び MRI にて第 3 脳室より側脳室に伸展する腫瘍性病変と続発性水頭症を認め当院を紹介された. 腫瘍捺印細胞診標本において腫瘍細胞は, 緩やかに結合するシート状の上皮様細胞と一部に単離細胞を認めた. 細胞質はライトグリーン好染性で, 泡沫状. 細胞境界は不明瞭で, 形状は, 多稜形もしくは類円形, 核は偏在傾向を示すものが多く, 小型核小体を有していた. 核異型は目立たず, 2 核細胞や, 核内細胞質封入体もみられ, 上皮様結合を示す細胞間にリンパ球を認めた. 組織学的には, 粘液様基質を豊富に認め, 腫瘍細胞は, 線維に区分され, コード状ないしリボン状に増生していた. 間質内に形質細胞の浸潤が目立ち, ラッセル小体の出現もみられた. 免疫染色では, GFAP, CD34, vimentin に陽性, EMA は陰性であった.
結論 : chordoid glioma は細胞形態上, chordoma (脊索腫) や chordoid meningioma (脊索腫型髄膜腫) に類似するが, chordoid glioma の特徴を知れば, 診断により近づけると考えた.

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© 2011 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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