抄録
背景 : 原発性あるいは転移性腫瘍との鑑別が必要な患者に対し, 細胞診によって原発性肺癌を確定し, さらに EGFR 遺伝子変異の解析が可能であった原発性肺癌の 1 例を報告する.
症例 : 60 歳代, 女性. 背部痛を主訴に当院を受診し, 骨シンチや CT スキャンなどの結果より転移性骨腫瘍と肺腫瘍を指摘された. 乳癌の既往歴があることにより乳癌からの骨転移や肺転移が疑われ, 左上肺野結節に対して CytoRich, Red 固定液を用いた経気管支擦過細胞診が施行された. 細胞形態および thyroid transcription factor-1 陽性, エストロゲンレセプター陰性であったことより原発性肺癌と診断した. さらに, L858R (exon 21) の EGFR 遺伝子変異を peptide nucleic acid-locked nucleic acid polymerase chain reaction clamp 法と免疫細胞化学で検出した.
結論 : 免疫細胞化学により, EGFR 遺伝子変異の検出が可能である. 個別化治療が進むにつれて細胞材料を用いた免疫細胞化学や分子病理学的検索がさらに必要となると考える.