東海北陸理学療法学術大会誌
第23回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: C012
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特発性間質性肺炎患者に対する理学療法の経験
~ADL能力に改善が認められた1例を通して~
*増井 大助岩里 大樹宮本 靖大佐々木 嘉光
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キーワード: 間質性肺炎, 運動療法, ADL
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抄録
【はじめに】「特発性間質性肺炎(IIPS)の診断治療ガイドライン(2005)」によるとリハビリテーションにより運動耐容能改善、呼吸困難感軽快、QOL向上が期待できるとしているが、その有用性に関しての報告は少ない。今回、IIPSの症例に対し理学療法を実施する機会を得、その効果について考察したので報告する。
【症例紹介】84歳男性。診断名はIIPS。既往歴に多発性脳梗塞と糖尿病があるが、運動麻痺の影響はなく、血糖コントロールは良好。現病歴は、平成17年12月初旬より感冒様症状有り、12月下旬に呼吸困難感増強、他院でIIPSと診断され入院加療。ステロイドパルス療法に加え酸素投与を施行。酸素投与は必要だがステロイドは漸減され、平成18年4月、長期療養目的で当院入院。尚、症例には今回の発表の主旨を口頭及び書面で説明し同意を得ている。
【理学療法初期評価】意識清明。コミュニケーション良好。O22l/min投与中。MRC息切れスケールはGrade 5。胸郭可動性低下。咳、痰、呼吸困難感有り。血算はWBC 9930/μl 、RBC 312×104/μl、Hb 10.4g/dl、Ht 31.6%、HbA1C 6.8%、KL-6 392U/ml。生化学はTP 4.7g/dl、ALB 2.1g/dl、CRP 1.52mg/dl。胸部CTは両側に多量の胸水、両下背側中心に著明な間質影の増強。胸部X-Pは肺野全体に網粒状陰影。MMTは上下肢で3-4 level。基本動作は座位保持自立、寝返り一部介助、他全介助。ADLはBarthel index(BI)で15点(食事以外要介助)。投与薬として、フ゜レト゛ニソ゛ロン5mg、ラシックス20mg、ノホ゛ラヒ゛ット30mixを常用。
【経過】週4回、1日40分程度の理学療法及び、ADL訓練を中心とした作業療法を実施した。運動強度はHRRの40%、SPO2 90%以上、修正ボルグスケール(RPE)4で施行した。平成18年4月、ベットサイドにて訓練開始。訓練当初、易疲労性によりW/C座位保持10分程度の状態であった。徐々にW/C座位時間延長し、訓練開始4週目より筋力増強訓練、起立および立位保持訓練を開始。5週目には立位保持が1分程度可能となり、基本動作ではベッド柵を把持し、寝返り・起き上がり自立、移乗は監視レベルで実施可能となった。6週目よりroom airとなり、立位保持は約2分程度可能となった。歩行訓練(3mの平行棒で1往復×3)を追加し、7週目には前腕支持型歩行車(20m×2)に変更。以後RPEに合わせて可及的に負荷を漸増させ、18週目には歩行器歩行300m可能、BIは65点(50点上昇)となった。
【考察】宮本らの報告によると、症状安定期にあるIIPS患者では、ステロイド療法とともに運動療法が有効である可能性が示唆された。今回、IIPSの症例に対し運動療法を主とする理学療法を実施したところ、運動耐容能に改善がみられ、それに伴い基本動作はほぼ自立し、ADL能力も向上した。つまり、今回の結果からもIIPS患者に対し、薬物療法の効果に加え運動療法を実施することで、運動機能を維持・向上することがADLの改善、QOLの向上を図る上で重要と考えられた。
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© 2007 東海北陸理学療法学術大会
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