日本臨床細胞学会雑誌
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原著
肺腺癌の上皮成長因子受容体 (EGFR) 遺伝子変異解析における気管支鏡下採取細胞診検体の有用性の検討
高頭 秀吉江村 巌薄田 浩幸岩本 久司池津 満加藤 法男田村 正史山田 隆志山田 佑輔
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2012 年 51 巻 5 号 p. 341-347

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抄録

目的 : 肺腺癌の EGFR 遺伝子変異解析における気管支鏡下採取細胞診 (BFC : Bronchofiberscopic cytology) 検体の有用性を評価するため, 同一症例の BFC 検体と癌組織ホルマリン固定パラフィン切片 (FFPES : formalin-fixed paraffin-embedded section) の変異結果の相関性について検討した.
方法 : 119 例の腫瘍 FFPES と同一症例の BFC 検体を対象に検索した. BFC 検体は, 97 例が術前の新鮮 BFC 検体であり, 22 例は細胞診断用の保存パパニコロウ染色 BFC 標本を検討した. exon19 の欠失変異は Mutant-enriched PCR 法, 点突然変異 (G719S, G719C, L858R, L861Q) は nested Cycleave 法により解析した (検出感度 0.2%).
成績 : FFPES の EGFR 遺伝子変異結果に対し, BFC 検体の感度と特異度は, それぞれ 96.6% (57/59), 100% (60/60) であった. BFC 検体では偽陽性症例はなかったが, 偽陰性が 2 例存在し, いずれも細胞診断用 BFC 標本における癌細胞数は 0.2%未満であった.
結語 : 同一症例の BFC 検体と FFPES 間の全一致率は 98.3%であり, BFC 検体は EGFR 遺伝子変異の検索対象として有用である.

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© 2012 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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