日本臨床細胞学会雑誌
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原著
甲状腺腫瘍マーカーとしての CD26/DPPIV の有用性
—多年度・多施設における検査成績からの評価—
荒武 八起清山 和昭白濱 幸生花牟禮 富美雄梅木 一美大野 英治小谷 富男田村 和夫年森 啓隆栗林 忠信
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2013 年 52 巻 2 号 p. 107-115

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抄録

目的 : 甲状腺腫瘍に対する診断的マーカーの検索を研究目的とする. その候補の一つとして CD26/DPPIV を多施設, 多年度のデータから評価する.
方法 : 1991∼2011 年の 21 年間, 研究関連病院において組織診断が確定した延べ 1901 例を対象とした. 方法は, 酵素活性染色, 酵素活性定量, 免疫組織化学染色, ノーザンブロットおよび RT-PCR による mRNA 解析である.
成績 : CD26/DPPIV は, 正常および良性病変の甲状腺細胞においては発現量が低いが, 乳頭癌や濾胞癌などの高分化癌ではほとんどの症例で高発現していた. 濾胞腺腫の中に高発現する症例が存在したが, その出現頻度は低率であった.
結論 : 多施設における共同研究から, CD26/DPPIV は甲状腺腫瘍マーカーとして有用であることが確証できた. CD26/DPPIV 活性染色は, 迅速性・簡便性などの点において, 他の診断的マーカーにはない特質を有している.

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© 2013 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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