福祉社会学研究
Online ISSN : 2186-6562
Print ISSN : 1349-3337
自由論文
生活をまわす/生活を拡げる
知的障害当事者の自立生活への支援から
三井 さよ
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2010 年 7 巻 p. 118-139

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抄録
本稿は,多摩地域における知的障害当事者の自立生活への支援活動を通して,当事者の意思を中心にしようとするとき,支援者がどのような課題 に直面し,いかにして自らを支援者として問い直すかを明らかにしようとするものである. 知的障害の当事者による自立生活を支援しようとするとき生活をまわす」「生活を拡げる」というこつの課題が支援者にとって浮かび上がってくる.どちらも当事者自身がなすことだが,当事者の意思決定に支援者が深くかかわっている以上,支援者もまたそれらを課題とせざるを得ない.それは課題としながらその内実を問い直すような過程であり,現在二つの課題が対立するように見えるときも,長期的なかかわりを前提とすることで,将来の可能性をさまざまに想定し,現在を相対化するような営みである. 地域という第三者がかかわるとき支援者は二つの課題の対立をもっとも激しく感じるが,長期的なかかわりを持つことが「あたりまえ」だという「前提」を貫くことで,地域との間のコンフリクトにも将来的な変化の可能性を見出し,個別の地域住民に働きかけている.こうした支援者たちの取り組みは,知的障害の当事者への支援に限られることでもなければ, 自立生活の支援に限られることでもない. 自らと異なる(他者)が生きていくのを支援しようとするとき,普遍的に現れる課題である.
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© 2010 福祉社会学会
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