日本臨床細胞学会雑誌
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52 巻 , 2 号
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総説
  • 則松 良明
    2013 年 52 巻 2 号 p. 77-86
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/01
    ジャーナル フリー
    無排卵周期に伴う endometrial glandular and stromal breakdown (EGBD) では間質の変性凝集像や化生変化が異常細胞集塊として認識され, 内膜増殖症や内膜癌と誤認する場合があるため, 正確な診断は重要である. さらに今後, 子宮内膜細胞診での液状化検体細胞診の実施が予測されるため, それらにおける EGBD の細胞像の検討や, 従来法との比較は必要である.
    液状化検体細胞診として BD SurePathTM法 (SP 法) を用い検討した結果, 1) 従来法より塗抹面積が小さいにもかかわらず標的細胞が適切に塗抹され, 背景清明であった. 2) 間質細胞凝集塊の核所見の特徴は腎形・暗色調クロマチン・小型, 化生性不整形突出集塊では紡錘形・大型であった. 3) 従来法より細胞核の収縮傾向や重積傾向を認めるが, 核形状の保持に優れている. 4) 複数枚の標本が作製可能であるため CD10, p53 および Cyclin A などを組み合せた免疫細胞化学所見を加えることが可能であった. 5) ライトグリーン体の認識は EGBD 診断の一助になる.
    以上より SP 法を使用した EGBD の細胞診断における精度向上が期待できる.
原著
  • 松浦 祐介, 岡 ハル子, 小原 光祥, 佐藤 斉, 藤原 仁, 岩井 幸子, 川越 俊典, 土岐 尚之, 蜂須賀 徹, 柏村 正道
    2013 年 52 巻 2 号 p. 87-95
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/01
    ジャーナル フリー
    目的 : 液状処理法と従来法において採取器具をかえて得られる子宮頸部細胞像について比較検討する.
    方法 : 705 例からそれぞれ 4 つの子宮頸部細胞診標本を作製した. 綿棒+従来法 (サンプル A) ・ブルーム型ブラシ+従来法 (同 B) ・綿棒+液状処理法 (同 C) ・ブラシ+液状処理法 (同 D). ベセスダシステム 2001 に基づき, 細胞像を中心に比較検討した.
    成績 : 頸管腺細胞の出現はサンプル A で 7%, B で 87%, C で 4%, D で 75%とブラシで有意に多かった. 背景が清明な標本はサンプル A で 76%, B で 64%, C で 90%, D で 81%と液状処理法で有意に多かった. 従来法での細胞少数例はサンプル A で 10%, B で 3%であった. 液状処理法で細胞数 5,000 個以下はサンプル C で 25%, D で 9%であった. 従来法で 705 例中 44 例, 液状処理法で 42 例に細胞診断の不一致がみられたが, ブラシにおいてそれぞれ 36 例と 37 例にハイグレイドの病変と診断された. HSIL の検出についてはサンプル B と D で差はなかった.
    結論 : ブラシ+液状処理法で最も異型細胞を検出する機会が多く, ブラシによる細胞採取法が推奨される.
  • 圦 貴司, 木下 勇一, 螺良 愛郎
    2013 年 52 巻 2 号 p. 96-100
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/01
    ジャーナル フリー
    目的 : 子宮内膜細胞診に出現する卵巣癌細胞の形態学的特徴を同定し, 内膜癌由来細胞との鑑別を明確にする.
    方法 : 術前の内膜細胞診標本に表層上皮性卵巣癌細胞が出現した 9 例について, 細胞像を漿液性・類内膜・明細胞腺癌の組織型別に 5 例の子宮内膜を原発とした癌症例と比較した.
    成績 : 内膜細胞診に出現する卵巣癌細胞は, きれいな背景に正常の内膜細胞とともに出現し, 組織型を問わず小型の球状集塊を形成するものが多い. 卵巣癌の最大集塊径および集塊面積は, 子宮内膜原発癌症例と比較して有意に小さかった.
    結論 : 内膜細胞診に出現する卵巣癌細胞集塊は子宮内膜癌と比較し, 有意に小さい.
  • 久山 佳代, 松本 敬, 孫 燕, 森川 美雪, 加藤 拓, 山本 浩嗣
    2013 年 52 巻 2 号 p. 101-106
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/01
    ジャーナル フリー
    目的 : 顎骨内穿刺吸引細胞診の症例を解析し, 細胞および組織所見を比較検討した.
    方法 : 顎骨内病変から穿刺吸引し, 病理組織学的に確定診断された 35 例とした.
    成績 : 細胞学的に陰性 27 例 (77.1%), 陽性 2 例 (5.7%), 不十分な検体 6 例 (17.1%) であった. 陰性症例の推定診断は顎骨内嚢胞 9 例 (33.3%), 炎症 9 例 (33.3%), エナメル上皮腫 5 例 (18.5%), 角化嚢胞性歯原性腫瘍 (KOT) 4 例 (14.8%) であった. 顎骨内嚢胞の確定診断は術後性上顎嚢胞, 歯根嚢胞, 含歯性嚢胞が各 3 例であった. 陽性 2 例は扁平上皮癌であった. KOT と扁平上皮癌の正診率およびエナメル上皮腫と顎骨内嚢胞の特異度は 100%であった. 細胞学的に歯根嚢胞は, 炎症性背景に中心性類円形核を伴う多角形細胞が緩くシート状にみられた. 含歯性嚢胞は類円形核を有し, 軽度 N/C 大, 均一な立方上皮細胞が小集塊に出現した. KOT は角質片/絮状物質を背景に, 小型円形濃縮核を伴う類円形/歯原性細胞が散見された. エナメル上皮腫は軽度の炎症性背景に “裸核様” 歯原性小型細胞と突起を有する小型∼中型の多角形細胞の出現や扁平上皮化生など多彩であった.
    結論 : 顎骨内穿刺吸引細胞診は有用であるため, さらなる鑑別診断や細胞所見の蓄積が必要である.
  • 荒武 八起, 清山 和昭, 白濱 幸生, 花牟禮 富美雄, 梅木 一美, 大野 英治, 小谷 富男, 田村 和夫, 年森 啓隆, 栗林 忠信
    2013 年 52 巻 2 号 p. 107-115
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/01
    ジャーナル フリー
    目的 : 甲状腺腫瘍に対する診断的マーカーの検索を研究目的とする. その候補の一つとして CD26/DPPIV を多施設, 多年度のデータから評価する.
    方法 : 1991∼2011 年の 21 年間, 研究関連病院において組織診断が確定した延べ 1901 例を対象とした. 方法は, 酵素活性染色, 酵素活性定量, 免疫組織化学染色, ノーザンブロットおよび RT-PCR による mRNA 解析である.
    成績 : CD26/DPPIV は, 正常および良性病変の甲状腺細胞においては発現量が低いが, 乳頭癌や濾胞癌などの高分化癌ではほとんどの症例で高発現していた. 濾胞腺腫の中に高発現する症例が存在したが, その出現頻度は低率であった.
    結論 : 多施設における共同研究から, CD26/DPPIV は甲状腺腫瘍マーカーとして有用であることが確証できた. CD26/DPPIV 活性染色は, 迅速性・簡便性などの点において, 他の診断的マーカーにはない特質を有している.
  • 髙木 希, 廣川 満良, 延岡 由梨, 樋口 観世子, 隈 晴二, 宮内 昭
    2013 年 52 巻 2 号 p. 116-121
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/01
    ジャーナル フリー
    目的 : 本論文の目的は, ワルチン腫瘍様乳頭癌の細胞所見および鑑別診断を明らかにすることである.
    方法 : ワルチン腫瘍様乳頭癌 33 例の細胞診標本を後ろ向きに検討した.
    成績 : 全例にて乳頭癌と診断されていたが, 本亜型が推測されていたのは 2 例のみであった. 1) 背景に多数のリンパ球・形質細胞, 2) 乳頭状・シート状腫瘍細胞集塊, 3) 柵状配列を示す高円柱状腫瘍細胞, 4) 腫瘍細胞の好酸性細胞質, 5) 腫瘍細胞核の細∼粗顆粒状クロマチン, の全ての所見を満たす症例は 27 例 (81.8%) であった. また, 偽角化や淡明化した腫瘍細胞も出現していた.
    結論 : 本亜型を積極的に推定する意義は少ないが, 高細胞型乳頭癌, びまん性硬化型乳頭癌, 好酸性細胞型濾胞性腫瘍, 橋本病との鑑別が必要な場合があることから, この疾患概念や細胞像の特徴に精通していることは重要と思われる. 特に高細胞型乳頭癌は, 臨床像や予後がそれぞれ異なることから細胞診学的鑑別が必要である. 高細胞型乳頭癌は高齢者に多く, 背景に橋本病がないこと, ワルチン腫瘍様乳頭癌は若年者に多く, 明瞭な結節形成がなく, 広範なリンパ節転移があることが参考になる.
症例
  • 芦原 敬允, 田中 智人, 中村 路彦, 棟方 哲, 藤田 茂樹, 大道 正英
    2013 年 52 巻 2 号 p. 122-127
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/01
    ジャーナル フリー
    背景 : 内臓悪性腫瘍の臍転移 (Sister Mary Joseph’s nodule ; SMJN) は腹腔内および骨盤内悪性腫瘍のうち約 1∼3%の頻度で生じ比較的まれである. 今回, 再発卵巣癌の臍転移に対して臍切除術を施行した症例を経験したので報告する.
    症例 : 52 歳. 腹部膨満感を主訴に当院を受診した. 来院時, 両側卵巣腫大および大量の腹水貯留を認めた. 進行卵巣癌を疑い, 単純子宮全摘術, 両側付属器摘出術, 大網部分切除術, および播種病巣摘出術を行った. 最終診断は右卵巣癌 (endometrioid adenocarcinoma, Grade 3) IIIc 期であった. 術後補助化学療法として TC 療法を 6 コース施行したが, 術後 12 ヵ月目に臍部に 3 cm 大の暗赤色の腫瘍を認めた. 腫瘍が易出血性であったため生検はせず, 穿刺吸引細胞診を施行したところ, 腺系の腫瘍細胞のほかに異型扁平上皮細胞や紡錘形の高度異型細胞を認めたため, 臍腫瘍切除術を施行した. 最終診断は再発卵巣癌の臍転移であった.
    結論 : SMJN は内臓悪性疾患の末期兆候の一つとして知られているが, 本症例のように孤立性転移で切除可能な症例や, 全身状態良好で化学療法が施行可能な症例も存在する. また, 出血, 感染の理由から臍部の生検が困難な場合, 低侵襲である穿刺吸引細胞診が早期診断に有用である.
  • 間崎 和夫, 釘宮 剛城, 青木 千津, 田邊 なおみ, 三宅 洋子, 渋谷 和俊, 大村 剛, 森田 峰人
    2013 年 52 巻 2 号 p. 128-133
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/01
    ジャーナル フリー
    背景 : 子宮癌肉腫の間葉系の異所性成分としては横紋筋肉腫, 軟骨肉腫, 骨肉腫などの中胚葉が多く, 神経外胚葉分化を伴うものはまれである. 今回われわれは未熟な中胚葉と神経管様組織などの神経外胚葉分化を伴った奇形腫様の子宮癌肉腫を経験したので報告する.
    症例 : 59 歳, 女性. 閉経は 51 歳. 不正性器出血を主訴に当科へ紹介され, 骨盤 MRI 検査で子宮体部内腔に 98×77 mm の腫瘤を認めた. 子宮内膜細胞診では壊死物質を背景に大小不同の核異型の強い細胞を認め, 子宮内膜組織検査では癌肉腫が疑われた. 術中の腹腔洗浄細胞診では小型の乳頭状集塊と砂粒体を有した集塊を多数認め, 子宮全摘出術+両側付属器摘出術+骨盤リンパ節郭清術+傍大動脈リンパ節郭清術+大網切除術が行われた. 摘出子宮の病理組織所見は腺癌のほかに円形または紡錘形の異型細胞が増殖し, 神経管様組織, 未熟な軟骨, 脂肪, 扁平上皮を認めた. 免疫染色では GFAP, S-100 蛋白染色が陽性であった.
    結論 : 術前の子宮内膜細胞診では多彩な細胞を認め診断は困難であったが, 腹腔洗浄細胞診では腺癌が疑われ, 摘出子宮の組織診で未熟な中胚葉と神経外胚葉分化を伴った子宮癌肉腫と診断された.
  • 有田 奈弥恵, 石田 光明, 宮平 良満, 岩井 宗男, 吉田 桂子, 籠谷 亜希子, 岩本 望, 岡部 英俊
    2013 年 52 巻 2 号 p. 134-138
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/01
    ジャーナル フリー
    背景 : 卵巣成人型顆粒膜細胞腫 (AGCT) は境界悪性腫瘍に分類され, 晩期再発が多いことが知られている. 今回, われわれは術中迅速捺印細胞診が診断に有用であった AGCT の胸壁転移例を経験したので報告する.
    症例 : 44 歳, 女性. 約 1 年前に近医での CT 検査で右胸部腫瘤を指摘され, その後増大傾向を示したため当院に紹介受診となった. 術中所見で腫瘤は胸壁に存在し, 右肺に直接浸潤していた. 術中迅速捺印細胞診では, N/C 比が高く, 細胞質に乏しい細胞が孤立散在性∼小型集塊状に出現していた. 核クロマチンは細顆粒状で軽度増量し, コーヒー豆様の縦溝が観察された. 免疫細胞化学的にα-inhibin 陽性であったことと併せて, AGCT の転移と推定した. 後に 13 年前の卵巣 AGCT の手術歴が判明し, 病理組織学的に AGCT の胸壁転移と診断した.
    結論 : AGCT は晩期再発をきたすことが多く, 本例のように診断時に腫瘍の既往が不明であることがあり, ときにその診断に苦慮する. 詳細な細胞像の検討から AGCT の転移の可能性を疑い, 既往歴の確認とα-inhibin の免疫細胞化学染色が診断に有用であった.
  • 江原 輝彦, 是松 元子, 河村 憲一, 下地 恵吉, 松井 宏江, 清水 健, 柳本 茂久, 鈴木 雅子
    2013 年 52 巻 2 号 p. 139-142
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/01
    ジャーナル フリー
    背景 : マラコプラキアが子宮内膜に発生することはきわめてまれである. 内膜報告例では高齢発症が多くいずれも不正出血を主訴とすることから, 臨床的には内膜増殖性疾患の否定が第 1 義である. 本例で認められた内膜スメアの所見, 組織像を報告する.
    症例 : 87 歳女性. 不正出血を主訴として来院. 経腟エコーにて内膜肥厚がみられたため, 内膜細胞診, 組織診が行われた. スメアでは, 多数の好中球に混在し大型, 泡沫状の細胞質を有する von Hansemann 細胞が認められた. 細胞質内には, 境界明瞭な同心円状を呈する Michaelis-Gutmann 小体が 1∼数個みられた. 内膜腺は萎縮状で, 細胞異型や増殖性疾患を示唆する所見はみられなかった. 組織学的には内膜間質に上記細胞の集簇が確認された. 内膜表面はびらんを呈し, 多数の好中球浸潤を伴っていた.
    結論 : 不正出血を主訴とする高齢者の内膜スメア細胞診に際しては, マラコプラキアの可能性を鑑別診断に含めることが重要である. 大型組織球の出現, Michaelis-Gutmann 小体の存在により確定診断に到達できると思われる.
  • 土田 秀, 中里 宜正, 神山 晴美, 布瀬川 卓也, 吉田 勤, 飯島 美砂, 小島 勝, 杉原 志朗
    2013 年 52 巻 2 号 p. 143-146
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/01
    ジャーナル フリー
    背景 : 肺原発の印環細胞癌は WHO 分類や肺癌取扱い規約で腺癌の特殊型に分類される発生頻度のまれな腫瘍である. 今回, 肺原発の印環細胞癌を経験したので報告する.
    症例 : 検診で胸部異常陰影を指摘された 41 歳の女性. computed tomography で右肺下葉に腫瘤が認められ, 肺癌が疑われたことから気管支鏡下肺生検が施行された. 生検組織の捺印細胞診標本では細胞質に豊富な粘液様物質を認める腫瘍細胞がみられ, 粘液産生性の腺癌を推測した. 生検組織では細胞質に粘液を有する印環細胞型の腫瘍細胞が認められ, 免疫組織化学的検索で腫瘍細胞の約半数で TTF-1 が陽性を示し, CK7 が陽性で CK20 は陰性であったことから肺原発の印環細胞癌と診断された.
    結論 : 肺原発の印環細胞癌はまれな腫瘍であるが, 肺腫瘍に対する細胞診標本で細胞質に粘液を有する印環細胞型の腫瘍細胞が認められた場合, 他臓器の検索とともに本腫瘍の可能性も考慮する必要があると思われた.
  • 荒川 文子, 仲間 盛之, 村田 行則, 田島 秀昭, 石井 幸雄, 石田 剛
    2013 年 52 巻 2 号 p. 147-151
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/01
    ジャーナル フリー
    背景 : 脳腫瘍圧挫細胞診標本にて, ヘマトキシリンに濃染し, 大小不同の目立つ類円形核を有する細胞が出現し, 退形成性髄膜腫との鑑別が問題となった微小嚢胞性髄膜種の 1 例を経験したので報告する.
    症例 : 77 歳, 男性. 頭部 MRI にて右前頭葉に辺縁明瞭な腫瘍がみられた. 術中迅速組織診断に提出された腫瘍の一部で捺印標本と圧挫標本を作製した. 血管の豊富な背景に, ヘマトキシリンに濃染し, 大小不同の目立つ類円形核とライトグリーン好染性の広い細胞質を有する細胞がシート状集塊でみられた. 核形不整を伴う大型細胞, 多核細胞, 核内偽封入体のある細胞, 細胞質が泡沫状の細胞も出現していた. 集塊の中には, 突起のある細胞に囲まれた細胞間空隙がみられた.
    結論 : 微小嚢胞性髄膜腫では, 核の多形性や異型性がみられるが, N/C 比が低く, 背景の壊死や核分裂像もみられないことが退形成性髄膜腫や一般の悪性腫瘍と異なる所見である. さらに, 細胞質突起に囲まれた特徴的な小型空隙が細胞診でも認められる. この細胞間空隙は凍結組織切片ではアーチファクトとの鑑別が難しく, 術中迅速診断では圧挫および捺印標本の併用が本亜型の推定診断に有用であると考える.
  • 田島 秀昭, 荒川 文子, 齋藤 広樹, 村田 行則, 石井 幸雄, 當銘 良也, 石田 剛
    2013 年 52 巻 2 号 p. 152-157
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/01
    ジャーナル フリー
    背景 : 肺胞蛋白症 (PAP) は, 肺胞を中心とした気腔内にサーファクタントが異常貯留する比較的まれな疾患である. 気管支鏡下吸引痰と気管支肺胞洗浄液 (BALF) 中に特徴的な微細顆粒状構造物と無構造物質を認めた PAP の 1 例を経験したので報告する.
    症例 : 46 歳, 女性. 左乳房腫瘤精査の際, 胸部 CT で異常陰影を指摘され検査入院となった. 気管支鏡下吸引痰細胞診で, 微細顆粒状構造物や無構造物質を少量認め, PAP が疑われたが確定診断にはいたらなかった. 後日, 気管支肺胞洗浄が行われ, 乳白色の液を回収した. BALF 細胞診では, ライトグリーンに染まる微細顆粒状構造物を背景に, オレンジ G およびライトグリーンに染まる大小さまざまな無構造物質が無数に認められた. その内部構造は均一で層状構造は認めなかった. また, 無構造物質を貧食したマクロファージや泡沫状細胞質の大型マクロファージが観察された. 微細顆粒状物質および無構造物質は PAS 反応陽性であった. 経気管支肺生検にて, 組織学的に PAP と診断された.
    結論 : 気管支鏡下吸引痰細胞診でも, 微細顆粒状構造物や無構造物質などの非細胞成分に注意を払い, 画像所見や臨床情報を加味することで, BALF 細胞診と同様, PAP の確定診断をすることができると考えられた.
  • 米田 操, 今井 裕, 福留 寿生, 藤田 良弘, 北山 美佳, 内田 克典, 広川 佳史, 白石 泰三
    2013 年 52 巻 2 号 p. 158-163
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/01
    ジャーナル フリー
    背景 : SPNP は, まれな膵腫瘍である. endoscopic ultrasound guided fine needle aspiration (以下, EUS-FNA) 時に得られた細胞像について検討を行った.
    症例 : 20 歳代, 女性. 悪心, 嘔吐を主訴とし, MRI, CT で膵体部に約 30 mm の腫瘤を認めた. EUS-FNA 時にベットサイドの Diff−Quik 染色の細胞所見では, 樹枝状配列, 偽乳頭状増殖が認められ, SPNP 疑いとされた. Pap 染色, セルブロック (HE 染色) においても同様の所見であった. セルブロックの免疫染色では, β-catenin, cyclinD1 陽性, vimentin 陽性, Synaptophysin 弱陽性, ChromograninA 弱陽性, αAT 陽性であった.
    結論 : EUS-FNA による迅速細胞診とセルブロック免疫染色は SPNP の診断に有用であった.
  • 柳谷 典子, 工藤 慶太, 文 敏景, 星 利良, 元井 紀子, 石川 雄一, 宝来 威
    2013 年 52 巻 2 号 p. 164-168
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/01
    ジャーナル フリー
    背景 : 炎症性筋線維芽細胞腫 (inflammatory myofibroblastic tumor : IMT) は肺に発生する腫瘤のなかでは非常にまれな疾患であり, 微小な生検検体で術前診断を得るのは困難なことが多い. 経気管支吸引細胞診 (FNAC) で, 非上皮性の低悪性度ないしは良性腫瘍や良性病変が疑われ, 手術検体で肺の IMT の確定診断を得た 1 例を経験したので報告する.
    症例 : 25 歳, 男性. 喫煙歴なし. 検診の胸部 X 線写真にて右上肺野に腫瘤影を指摘され, 胸部 CT 上, 右上葉に辺縁整で内部均一な結節影を認めた. 経気管支吸引細胞診では, リンパ球および形質細胞とともに中∼大型の紡錘形細胞が出現していた. 核異型は乏しいが, 細胞の軽度大小不同があり, 明瞭な核小体や核内細胞質封入体が出現していた. これらの所見から, 非上皮性の低悪性度ないしは良性腫瘍や良性病変が疑われた. 確定診断および治療の目的で, 胸腔鏡下右上葉切除術を施行した. 手術検体の組織診と免疫染色検査の結果, anaplastic lymphoma kinase (ALK) 陽性であり, IMT と診断された.
    結論 : 肺の孤立性病変を診断する際, 細胞診および病理組織診で上記のような形態学的所見を認めたときは, 頻度はまれであるが IMT も鑑別疾患にあげ, 検査を進めるべきであると考えられた. FNAC の所見は, 術前段階での IMT 診断の一助となる可能性が示唆された.
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